セリフ詳細

いや、「ニセ箱男」はニセ者じゃないんだよ。

物語批評的なことは長くなるから割愛するけど、「ニセ箱男」がどうのというより、純然たる匿名性を具現する「箱男」になった時点でね、すべての「箱男」は等価であり、交換可能的になっているんだ。

つまり「箱男」には本物も偽物もないんだよ。だってそもそも「箱男」は誰でもないんだから。誰かであることを止めた存在なんだから、「箱男」は。

「箱男」の入れ替わり可能性というのをキーに、読み直してみても面白いと思うよ

作品タイトル:[哲学探究Ⅰ]<わたし>とは何か? ~デンケン先生と哲学ガール~

エピソード名:14 安部公房『箱男』

作者名:千夜一夜読書人  nomadologie

58|社会・思想|連載中|15話|38,944文字

哲学, 思想

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デンケン先生と一緒に楽しく哲学します。