セリフ詳細

合理的でないのよ、父――(ファラオ)は。頑ななの。でもそれって良くないことだわ。先を考えてない。

……ほら、今、口減らしと戦意を削ぐためにヘブライに生まれる男児を殺しているわけでしょう? でも、二十年したらきっと今度はこう言うのよ。『労働力が足りない。ヘブライの者どもは何をしているのだ』って。

笑っちゃうわよね。自分で言い出したのに何言ってんのよ、あんたが殺したんでしょ、って。だったら、いっそヘブライ人をエジプトから追い出したって同じことでしょうに。ねえ、そう思わない?

作品タイトル:Predestination-Living Deads' Life 0-1-

エピソード名:there -2-

作者名:波多野琴子  ktkhtn97125

55|ファンタジー|連載中|15話|29,564文字

聖書ラノベ新人賞, 日常, ファンタジー, コメディ, シリアス, 聖書, 妖怪, 怪物, ライトノベル, キリスト教, 旧約聖書, 吸血鬼

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〈それ〉は視た。故郷に降りかかる十の災厄、吹き荒れる風、そして、――




ミイラ男のアルフレッド(通称:フレディ)は、怪物保護支援施設《ヴァンパイアの館》で暮らしている。スタッフである吸血鬼のアルカード卿を初めとする七人の同居人たちと、なんやかんやとてんやわんやで楽しい日々を送っていた。
が、あるとき彼は気付く。

「……覚えて、ない」

そう、彼には生前の記憶がなかったのだ。


どうして彼は全てを忘れたのか。どうして彼は死してなお生き、この世に身をとどめ続けているのか。どうして生き続けるのか。彼の切なる問いに答え得る、唯一のものとは――


とある「生ける屍」の記憶を巡る、時を超えた物語。