セリフ詳細

 少女の頭を包んでいた布がはらりと落ちて、油に濡れた黒髪と浅黒い肌が顕となった。十数分に及ぶ逃亡により少女は息を切らしている。肺が締め付けられるように痛い。それに、脳髄は酷く困惑していた。不可解なのは、謎の巨根男に追われることだけではない。

 ーーここは、一体どこなの!?

 少女には訳が分からない。いつも通りナザレの自宅にいたはずなのに、ふと目を瞬いた瞬間に、目の前の光景が一変したのだ。見たこともない様式の廃屋が立ち並び、人の気配は辺りから一瞬にして消えた。そして、代わりに彼女の目の前にいたのが、あの、長大な陰茎を持つ魔人なのであった。男がその陰茎の先からどろりとした液体を漏らした瞬間に、彼女は悲鳴を上げて、訳も分からぬままに駆け出したのだ。

作品タイトル:聖母妖魔伝

エピソード名:一、邪宗真槍

作者名:架神恭介  cagami

54|歴史|連載中|2話|13,102文字

キリスト教, 伝奇, バトル, 聖書ラノベ新人賞

40,966 views

マリアの処女、犯すべし――!

十六世紀に転生した聖処女マリアを追って、時代を超えて現れし異端、異教徒の呪われし七人。
巨大醜悪なる陰茎と恐るべき魔性技を備えしアナテマの七魔人たちが、マリアの処女を狙って襲い来る!
迎え撃つは教皇庁攻性異端審問官「鷲のクロフォード家」。
無垢なる処女マリアを守護し、バチカンへと護送せよ! マリアの処女膜が破られし時、神の御子の聖性は地に墜ち、歴史は改変され、この世は魔界へと変貌する――!