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【ばけむこ】

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女子が早死する家系で男装して育ったヒロインが、大なめくじの妖怪と結婚する話。今回読んだ新連載漫画の中で個人的には一番おもしろかった。何が良かったかというと、これが言語化しづらいのだが…。


一つには、妖異vs妖異という構図があると思う。主人公は大なめくじと結婚することで、なめくじ勢力の妖異の庇護下に入ったんだよね。主人公の家系が受けている呪いの正体は「人でも妖でもない」とのことで、異なるロジックの妖異にどう対処するかというワクワク感。


いわばグレイが口裂け女と戦うようなものだ。グレイは宇宙人だしオカルトだけど(宇宙人が物理的存在だとしたら)結局は物理的存在なので、都市伝説的存在とはロジックが異なってくるわけで。その怪異の交わりに期待感が出てる。


妖怪との結婚により庇護を受けるリスク&リターンもグッと来る。人生を狂わされながら、人生を狂わす要因へ対抗しようとする構図というか。結婚という契約行為のスリリングさとか、そこにレズ味も入ってきて倒錯感がすごい。


そして、最後はやっぱり雰囲気だろうか。この漫画には「妖異のいかがわしさ」が残っている。人知を超えたオカルト存在のいかがわしさ。大なめくじも女子短命の呪いも、ちゃんといかがわしい。


黒猫クインキャットも構図的には「妖異vs妖異」なんだけど、あちらでは「異能力の根拠を妖異にしただけの異能力バトル」になっていて、ロジックがスッキリしてしまい、オカルトのいかがわしさがなくなっている。「理解できる妖異」なんだよな。


しかし、ここで問題になってくるのが、「ばけむこ」は決して会員みんなから肯定評価を得たわけではないことで、むしろ黒猫クインキャットの方が「どういう漫画かわかりやすくて読みやすい」という声もあるんだよね、実際。


「ばけむこ」はおれにはすごく刺さったんだけど、これがどのくらい一般的評価を得られる作品なのかは全く分からない。


作品タイトル:マンガ新連載研究会・出張所

エピソード名:知っているか? 8月に始まった新連載マンガは100本以上あるぞ

作者名:架神恭介  cagami

57|創作論・評論|連載中|7話|15,850文字

漫画, マンガ, 架神恭介, ごとう隼平

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オンラインサロン「マンガ新連載研究所」の出張所です。
サロンオーナーである架神恭介(作家・漫画原作者)が、マンガ新連載研究会でやったこととか、やることとかを書きに来るよ。
 
 
☆マンガ新連載研究会とは?

漫画家(もしくは漫画家志望者)をメイン対象としたオンライン勉強会です。

漫画は始まっても売れなかったら終わるんで、「打ち切りになったら失敗」というイメージがあると思うけど、実は始まった時点で一定以上の成功なんじゃねーの?(企画が認められ出資を受けた)という認識に立脚し、

「んじゃあ、新連載第一話から、『成功』を学んでいこうぜ」

という趣旨の勉強会です。

新連載はどこかしらで毎日のようにポコポコ始まっているので、それらを追っていくだけでも、今のシーンの流れが掴めたりして勉強になると評判です。

現在連載中の漫画家や連載経験者も多数参加しているガチめの勉強会ですが、漫画編集者や小説家、さらには漫画が好きなだけの人でも大歓迎。

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