セリフ詳細

 少女が駆ける。

 荒れ果てた廃屋の合間をーー、陰鬱なる隘路を走る。

 彼女の纏いし衣服はあまりにお粗末だ。薄汚れた無地の麻地の貫頭衣。今なら最下層の者であっても、もう少し上等なものを纏っているだろう。

 足下は皮のサンダル。素足は砂埃で汚れきっている。

 少女は駆けながら何度も背後を振り返った。彼女は逃げていた。背後から迫り来る異形の影に怯えながら。夜の帳が降りつつある薄闇の中、異形のシルエットが彼女の瞳に映り込んだ。

作品タイトル:聖母妖魔伝

エピソード名:一、邪宗真槍

作者名:架神恭介  cagami

54|歴史|連載中|2話|13,102文字

キリスト教, 伝奇, バトル, 聖書ラノベ新人賞

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マリアの処女、犯すべし――!

十六世紀に転生した聖処女マリアを追って、時代を超えて現れし異端、異教徒の呪われし七人。
巨大醜悪なる陰茎と恐るべき魔性技を備えしアナテマの七魔人たちが、マリアの処女を狙って襲い来る!
迎え撃つは教皇庁攻性異端審問官「鷲のクロフォード家」。
無垢なる処女マリアを守護し、バチカンへと護送せよ! マリアの処女膜が破られし時、神の御子の聖性は地に墜ち、歴史は改変され、この世は魔界へと変貌する――!