セリフ詳細

 ライン川のような国際河川の課題を考えるには、国境を越えた流域レベルの視野が重要である。ゆえにその河川管理は、欧州全体の自然環境・生態系を左右する。近代工学に基づく河川改修は、洪水防止などを目的としているが、もともと洪水の流路であった「氾濫原」に都市が進出し、特に下流域の洪水被害を増大させる皮肉な結果を招いた。生態系への影響でも、氾濫原の消滅は甚大である。我が国に比べ、氾濫原平野への定住が進んでいなかった欧州では、氾濫原を原風景の「景観」と捉える意識が強く、絵画に描かれる事も多い。景観は、自然環境と人間の相互作用によって、歴史的に形成された地域である(日本語の「風土」に近いと思われる)。こうした自然景観を取り戻す思想が、河川再自然化を支えている。西洋の自然景観保護運動は、19世紀後半のアルプス山脈スイスに始まるが、河川再自然化の端緒は、ドイツ帝国で1904年に始まった郷土保護運動(ドイツ人の国民アイデンティティー形成と関連)であり、近代工業都市化で失われつつある景観の多面的機能を評価し、風景を自然資源として国有化する事で保全を目指した。

作品タイトル:ちがくぶ!地球研究会

エピソード名:水環境論 ヨーロッパの河川

作者名:スライダーの会  slider

62|科学|連載中|44話|274,160文字

短編, 青春, 高校生, エッセイ, シリアス, 一人称, 女主人公, 群像劇, 現代, 一話完結

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 東京 渋谷区の、とある私立学校に「地学(地球科学)部」という部活があり、私達の世界である地球(岩石圏・水圏・大気圏)と宇宙に関して、主に自然科学的な探究を行っていました。地学部の部室である「地学教材室」は理科館4階にあり、地学部で過ごした日々、ベランダから眺めた天地の景色は、部員だった私達の大切な思い出です。

 やがて卒業し、大学に進学するなどした私達は、地学部の理念を継承した活動を続けるべく、渋谷区や横浜市 青葉区の大学を拠点とするサークル「地球研究会」を結成しました。地球研究会は、地理学・地学などを中心に、私達が暮らし生きる世界を学び、その中に存在する自我を見詰める、総合的ネットワークです。

 現在は、ここ「NOVEL DAYS」に公式ウェブサイトを開設し、國學院大学・法政大学・星槎大学などの学生・卒業生らが参加し、論文や随筆を投稿しております。大学の課題レポートとして執筆した小論文も掲載しているので、学業の参考になるかも知れません。アイコン・イラストの登場人物はフィクションですが、本文で取り扱っているのは現実世界のテーマです。


【詳細】

 地球研究会は、國學院高等学校地学部を母体とし、その部長を務めた卒業生らによって、2007(平成十九)年に「地球研究機構 國學院大学地球研究会」として創立された。國學院大学においては、博物館見学や展示会、年2回(前期・後期)の会報誌制作など積極的な活動に尽力すると共に、従来の学生自治会を改革するべく、志を同じくする東方研究会・政治研究会と連合して「自由学生会議」を結成していた。

 主たる参加者が國學院大学を卒業・離籍した後も、法政大学や星槎大学など様々な舞台を踏破しながら、探究を継続している。ここ「NOVEL DAYS」では、同人サークル「スライダーの会」が、地球研究会の投稿アカウントを兼任している。