セリフ詳細

三人称一元視点のもう一つのメリットは、「キャラクターの口真似をしなくていい」ということです。
とくにセフリッド姫のバージョンで顕著ですね。前のページと見比べてみてください。
地の文が「彼女は」と語るとき、セフリッドちゃんのボキャブラリーにはない語を使ってもいいんです。
一人称では「とても心細くてさびしかった」だったけど、三人称のほうは直訳では「彼女は自分が孤立し人目についていることを感じた」なんです。大人っぽい難しい言葉を使っても違和感はありません。

作品タイトル:『ル=グウィンの小説教室』をつまみ食いしちゃうのだ

エピソード名:第7章「これが視点だ!」視点タイプ3&4(三人称視点)

作者名:未村 明(ミムラアキラ)  mimura_akira

149|創作論・評論|完結|41話|90,160文字

創作論, 創作のヒント, 小説の書き方, ハウツー, ル=グウィン, 文体, 人称, 視点, 翻訳

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ハウツー難易度:★☆☆~★★★(だんだん難しくなります)
ファンタジーの大家アーシュラ・K・ル=グウィンによる、小説の書きかた本。
"Steering the Craft"(あなたの技術/船の舵をとろうよ)
とても面白くて、役に立つアドバイスと練習問題がたくさんつまった本なので、ご紹介したいと思います。

『ル=グウィンの小説教室』という題は、今年の夏出版された日本語訳のタイトルからお借りしています。
『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』
(アーシュラ・K・ル=グウィン著、大久保ゆう訳、フィルムアート社、2021年)
でも、このエッセイ中の引用は、すべて未村が自分で訳しています。フィルムアート社の訳はいっさい使っていません。

アイコンは「ひかわさん」というイラストレーターの作品を使用しています。(イラストACよりダウンロード)

この作品はもともとコラボノベルでしたが、コラボレーターだった南ノ三奈乃さんが途中でリタイアされ、ご自身の投稿もすべてご自分で削除されました。
南ノさん、お忙しい中、ご協力ありがとうございました。