セリフ詳細

【アンディ・クラークは、有名な物理学者のファインマンが語った印象深い例をとりあげている。ある日、同僚の歴史学者がファインマンの研究室を訪れた。その同僚は、部屋にあふれんばかりのファインマンが書きつけたアイデア・ノートやメモの山を見るなり、「これは、あなたの日々の研究の記録ですね」と感嘆した。それに対して、ファインマンは、即座に「それは仕事の記録などではありません。それが仕事をしているのです」と反論したという。ファインマンでなくとも、彼の言わんとしていることは理解できよう。これらのノートやメモは、最初に自分の頭のなかにあったものを記録したのではなく、自分の思考を一部であり、それなくしては仕事にならない。そのノートやメモはファインマンの思考の欠くべからざる構成要素であり、それらは一体となって仕事をしている。私たちの日常生活は、これらの人工物や道具に大きく依存している。私たちの心のはたらきは、それらとのインタラクションの上に創発するのであり、脳のはたらきは不可欠とはいえ、その一部をなしているにすぎない】[河野:P35-36]

作品タイトル:[世界宗教探求]インド篇、あるいは解脱のススメ?

エピソード名:19 梵我一如(1)

作者名:千夜一夜読書人  nomadologie

61|社会・思想|完結|22話|40,456文字

哲学, 思想, 宗教, 仏教, インド, シャンカラ, インド哲学, 脳科学

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インドの哲学・宗教思想について、現代哲学や心理学・脳科学からのアプローチもからめて、超訳していきます。