懐旧の星影

作者 綾原シト

[ファンタジー]

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古より引き継がれし魔術が失われ、数百年の年月を経た後の時代―。

―慥かに怖れられたはずの存在は、今や架空のものとされ、囂々たる現代の世の中に、怒涛の如く過ぎる日常に掻き消されていた。

深い霧に包まれ残星が疎らに散る東雲。
朧に隠れ涼風を幾重にも纏う昼下がり。
紅掛に染まりゆく空に微かな夕星光る火点し頃。
瞑色から至極色へと移りゆく漆黒の宵闇。

刻々と移りゆく空模様には誰一人目をくれない。
それでも、時の摩耗に忘れ去られた“その”存在は、今も深い闇夜の中で息づいている。

封印された掟と過去の過ちに嘲笑われようとも。
失われゆく力と薄れゆく記憶に思いを馳せ罵られようとも。

例えそれが、過酷な運命を背負い歩んでいかねばならないのだとしても―。

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―これは、失われゆく今日と息づく明日の物語。

ファンレター

一話目で引っ張り込まれました

 初めまして。懐旧の星影を2話まで拝読しました。特に一話は印象深く、読んでいると情景がリアルに浮かび上がってきてぐぐっと引っ張り込まれました。使われている言葉が美しく、読みながらうっとりとしてしまいます。もう掴まれた、ってかんじです。そして2話はまた雰囲気が……これからどんな展開になっていくのか楽しみにしております。

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