樹下の転寝

作者 5435351123

[ミステリー]

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新興宗教団体ヴィーヴォが運営する霊園で、小鳥遊勉という老人の変死体が見つかる。第一発見者は教団の宗祖森田の養子である九歳の寛人とその仲間達。強行犯係の鶴来翔太と賀喜彩花が臨場し、現実主義の鶴来は仕事に入れ込む賀喜を抑えながら、勉の遺体が病の果てに鬼籍に入って間もない妻由美子の墓前にあったこと等から、遺書のないまま自殺と見立てるが、名前を彫らない樹木葬の墓が整然と並ぶ様に違和感を覚える。教団の総代は宗祖と同じ苗字の森田という老人。火葬も土葬も認め、医療分野にも手を広げる教団の実体を教わった鶴来達は、同行した地域課から、警察の目に触れずに人を葬ることが出来るせいで教団周辺がパトロールの定番コースになっていると聞く。刑事生活安全組織犯罪対策課長の月城が率いる所轄だけの帳場が立つと、その日のうちに安楽死用の薬剤が死因であることが判明し、自殺の筋がいよいよ色濃くなるが、樹木葬の数の現地と帳簿の不整合や教団の眉唾な噂話を根拠に捜査は継続される。間もなく由美子の原死因が書類上不明であることも分かり、教団が常習的に自殺を幇助している疑念が拭えなくなると、地域の火種を断つため、月城は由美子の墓を開けることを決める。永遠の眠りから起こされた遺体は、鶴来達に何を語るのか。

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