近未来ならぬ近過去。平成16年。世は不景気、真っ只中だった。孤独癖のある美形ナルシストの高校三年生・真崎亜樹夫(18)は父母妹を惨殺した容疑で警察から追われ、大人社会の欺瞞を冷笑しつつ、群れから疎外された獣のように新宿、渋谷をさすらう。街で出会った心優しき協力者たちに助けられ、内に秘めた凶暴な衝動に突き動かされるかのごとく〈ある目的〉に向って進んでいく。心に傷を抱えた若者の懸命な生きざまを通じて、真の家族の絆とは何かについて問う闇青春ハードボイルド・ミステリー。
　
✽衝撃的な事件の背後には悲しい真相が隠されています。ミステリーの体裁をとっておりますが、18歳の青春の彷徨者を主人公に、「人間の心の闇」や「社会の矛盾」について心理を掘りさげながら描いた作品です。ふだんミステリーやハードボイルドを読まれない方も、「一般小説」として楽しんでいただけます。第５章までは残酷な展開で読む際に心の痛みを伴うかもしれませんが、第６章以降しだいに救いがあらわれ、終盤、淡いラブストーリーに転じます。よろしかったら、ぜひ作品世界を訪れてください。待ってるぜ！(笑)