KILLING ME SOFTLY

作者 環F

[ミステリー]

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あるだけの噂を買い占め、夜更けに挑む――
この国有数の歓楽街K町で凄惨な連続殺人が起きる。初めはアルバイト帰りの女子大生、続いてパチンコ店従業員、証券会社のOL、外国人神父、そのどれもが鋭利な刃物で体中を滅多刺しにされた状態で発見された。
そして次の被害者に選ばれたのがこの街を二分する暴力組織の長だった。そう、組長はラブホテルのベッドの上で眼球が抉り出され、頬はその奥の歯が粉々になるまで何度も突き抜かれ、切り裂かれた腹からは内臓が引きずり出され、流れ出した血液のプールで溺れた状態で発見された。
ヤクザはそのメンツにかけて警察より先に犯人を見つけなくてはならない。しかし国家権力を駆使した捜査でさえ壁にぶちあたる中、ヤクザもただその暴力に訴えた探索方法を変える必要があった。
精神科医崩れの男がヤクザに呼び出され、廃業したカラオケボックスに拉致した関係者の尋問に協力させられる。同時に雇われた〈探偵〉が街に潜る。二人に共通するのは犯人を見つけなければ待っているのは破滅だということ。タイムリミットは夜明けまで。
逃走、追跡、闇の中の隠し部屋、街の灯に光るナイフ、うなるレジェンドのバット、カトリーヌが占う今日のラッキーアイテム、大型ビジョンのニュースキャスターが告げる終わりの始まり。
仕組まれた街で暴走を始めたもう一つの現実。制御は不可能。
雨なのにガソリンをかけたように燃える街。異形の群衆が襲いかかり、牙を剥く。
生き残るにはもう戦うしかない。
窓もない真っ白の病室に閉じ込められた無垢の少女。彼女は手にしたぬいぐるみを千切れるほど強く握る。訴える。
「殺すなら、優しく殺して」
暴力の限りが尽くされた血塗れのカラオケボックス、唐突に始まる過去の告発、明かされる〈生贄〉の真実、世界の終わり、愛の行方。
〝嘘つきは誰だ?〟
朝焼けの空に人工衛星が落ちる。
最後の銃声が鳴り響く。
さよならは一度だけ……

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