砂の苗

作者 主道 学

 溶かされた氷塊の海。真っ赤な日差しで照らされた錆びた鉄の街。所々にある街の建物に取り付けられた鋼鉄の風車が今にも暴れ足りない風を受けて回っている。
 この街には老人が一人だけ住んでいた。
 なんでも、よぼよぼの齢90だそうだ。
 他のみんなは、すでにこの街はもう駄目だと言って去って行った。
 老人だけが、たった一人この街に残っていた。

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