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圧巻のエピローグ! 故郷を想う全ての人に読んでほしい
震災、原発事故、父の逆行性健忘、失われた故郷という重いテーマを扱いながら、スルスルと読み進められるのは、一人称視点の語り口の絶妙さと、主人公の恋人真司のキャラによります。読み始めたらどんどん惹き付けられ、続きを読むのを止められません。
終盤は主人公の記憶と感情を解放し、前へ進むための創作的仕掛けと言いますか、劇的な展開が畳み掛けるように起こり、少しフィクション的な要素が強くなるのですが、エピローグがそれをしっけり受け止め、落とし込みます。思わず、巧い!と唸らされました。
そしてエピローグの主人公による叙述は圧巻です。それまでもウルッとくる場面は幾つかあるのですが、エピローグで語られる望郷の想いは、読んでいて胸が詰まります。福島出身でなくとも、東北の出身でなくとも、故郷を想う心を持つ人なら誰でも共感できる想いがそこには綴られています。
素晴らしい一篇。ぜひ読んで下さい。
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