花を贈る

作者 TamTam2021

[社会・思想]

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1件のファンレター

花を贈ること、贈られることには他の贈り物とは明らかに異なった感動があります。初々しさとか華々しさとか、人を奥底から揺り動かすものがあるようです。その正体は遥か彼方からの我々の記憶に連なるものかも知れません。かなり前のことですが妻に花を贈ったときの詩を照れながらお贈りします。ファンレターさまの紹介と私のコメントも末尾に改めて掲載しました。

ファンレター

いつまでも心に花束を

とても穏やかな優しい気持ちになりました。夕時の混雑したスーパーに立ち寄り、仕事帰りの男性が1人花売場で、妻の誕生日プレゼントを選んでいる様子を、とても微笑ましく思いました。沢山の鉢植えの中から心が引き寄せられるように、薄ピンクの、妻によく似た花を見つけ出したのですね。大きな鉢植えを大事そうに抱え、レジを待つ。この花を受け取った妻の喜ぶ顔を思い浮かべて…わざとオーバーなリアクションで、表彰式さながらに照れ隠ししながら渡している様子は、思わずクスリと微笑んでしまいました。遥か遠い昔の原始人も、愛する大切な人に花束を贈ったのでしょうか。花とは、美しく香しい、特別な存在です。そしてその命は永遠ではなく、いつかは消えてしまう儚げな物。人間の本能の中で脈々と受け継がれてきた、花を愛でる思い。ため息が出るほど愛らしいものを大切な人へ。数年前の初々しい花嫁を飾った髪飾りとブーケと、偶然にも同じ花を選んでいたとは…心の何処かで記憶があったのかも知れませんね。粋な贈り物を、奥様は喜ばれたことでしょう。花そのものよりも、ご主人の優しい心遣いが一番嬉しかったのですね。いつまでも心に花束を…どうぞこれからもお互いに長生きなさって、何度でも花束を贈り贈られ、素敵なご夫婦であられますようにと願っております。作品40作目、おめでとうございます。記念に残る美しい作品でした。

返信(1)

お便りありがとうございました。いつの頃からか花を贈るのがブームというか習慣のようになりましたが、やはり、花を贈る方も贈られる方も何か照れくさいながらも妙な嬉しさが湧いてきます。私事ですが今年は結婚三十周年を迎えました。しかし、仕事のことでいろいろとあり、それを祝うどころではありませんでした。今からでもこの詩をきっかけに妻に花を贈ろうかと考えています。「友がみな えらく見ゆる日は花を買いきて妻としたしむ」少し間違っているかと思いますが、啄木にこんな歌がありましたね。