マグロ3号

文字数 3,030文字

ここは【マグロ3号】の遊泳場だ。
他の者は立ち入り禁止だぜ。
「Faaaaaaaaaaaaaack!!!!!」
ぶりぶりぶりぶりぶりぶり!!!

thirdmaguro

「ああ……!デイビッドさんがウンコを漏らしてる!!」
「ああ、これでまた世界が食料不安から一歩遠のくことになりますね。ご協力感謝いたします」
そう言うと、目の前の女性はデイビッドさんのお腹に深々とめり込んだ右手を引き抜きました。
デイビッドさんは、国連魔人軍隊から派遣された軍人です。この女性……汚濁腹うん子さんを捕まえるために日本までやってきたそうです。
そのデイビッドさんが、もりもりと糞尿を漏らしています。ズボンの後ろ側がぐんぐんと膨らみ、やがてその膨らみはズルズルと足元の方へ滑り落ちるように広がっていきました。
「いただきます」
「Fuuuuuuuuuuuuuuck!!!」
「きもっ」
特殊繊維であるはずのズボンを軽々と引き裂き、汚濁腹さんはデイビッドのウンコをべちゃべちゃと食べていきます。
「っ……離れて!」
私はデイビッドさんから預かっていた拳銃を、空に向けて撃ちました。大きな音に反射的に反応したのか、汚濁腹さんはデイビッドから離れます。


やはり、発狂しているのでしょうか。

「はあ、はあ。気をつけろ、カノン。奴の右腕に光るアレは……」
「United Nation's Keeping Object


                  略してUNKOだ」

「……うんこ?」
「ほあああああああああ!!!ほきょきょきょきょ!!」
「そうだ。国連が保持している魔人能力による装備……って、なんだ!?」
私たちから距離をとった汚濁腹さんが、奇声をあげながらぶりぶりとなにかをひりだしていました。あれが、彼女の魔人能力。
「うおおおおおおおお!!!ファックのスペルを間違えたぜ!!!」
あれは俺が昨日の夜に食べたMAGURO-SUSHI」
「keepを使うのはちょっと意味的にズレてるんじゃないのとか言うんじゃあない!!!俺はUNKOってやりたかったの!!わかる!?!!?!?」
マグロは勢いよく跳ね回っていましたが、すぐに汚濁腹さんに息の根を止められてしまいました。
そして彼女はそれを、お腹をおさえてお尻を突き出した状態で四つん這いになっているデイビッドさんの元まで持ってきたかと思うと、こう言ったのです。
「どうぞ、お食べください」
私は震える手で拳銃をしまうと、ケースからクラリネットを取り出して構えます。汚濁腹さんは吸い込まれるように、私の楽器を見つめていました。
ーーーーー

thirdmaguro

「つまりだ、カノン。君の魔人能力なら、再びターゲットを社会のために役立たせることができるかもしれないのだよ」
「はあ……。ですが、その、そもそもどうして汚濁腹さんとやらは脱走したんですか?」
そのとき、私たちはカフェで向かい合っていました。デイビッドさんは私と違って自信満々、自分の人生がとてもうまくいっているご様子でした。
「ああ……それなんだがね。彼女の両親は、彼女が成人するまでの給料を自分たちが管理することを条件に、身柄を引き渡したんだ」
「つまり、金で子供を売ったと言うわけさ」
「上層部も条件に構ってはいられなかった。なにせ彼女の能力は、既存の兵站問題を全て解決するからね」
ーーーーー

thirdmaguro

「鈴鹿ァ!!早く次の家にいくぞ!!鈍臭いんだよお前は!さっさとしろ!」
なんて答えたのか、もうはっきりとは覚えていません。いつも通り、はい、だとか、すいません、そのようなことを口にしたんだと思います。
私の働いている介護の会社は、それなりに大手でした。普通の老人ホームの他に、デイサービスなども行っています。
本社から支店長が派遣されてきます。そして、支店の業績がいい支店長ほど、早く本社に戻れるのです。キャリア組は現場で働いていられないのでしょう。私はその日も、にこやかにそばで笑っている係として連れ出されていました。
そして、急いで運転席に回ろうとしたとき、私は車に轢かれてしまったのです。
ーーーーー

thirdmaguro

私はクラリネットを構え、ゆっくりと吹き始めました。
薔薇色ソリストは、曲を間違えることで精神に干渉する能力。私の音色で人の心を動かしたい。できれば、私が演奏で間違えてしまったとしても。そう考えたのがいけなかったのでしょうか。
おそらく、この能力ならば汚濁腹さんへの精神干渉も可能でしょう。しかしそれが機能するのは明日から。この場では、私はみじめに脱藩するのみです。
私は必死に演奏しました。後遺症で思うように動かない手に苛立ちながら。
そしてなぜか、汚濁腹さんもそれを身じろぎひとつせず聴いているようでした。
「はーっ!はーっ!」
私は『無事』に演奏し終えました。
曲は、誰もが小学校低学年で習うようなものです。そりゃあ間違えるわけないだろうという感じですが、それでも緊張しました。
そう。わたしは薔薇色ソリストを発動させませんでした。
「カノン……成功したのか?」
「……すいません」
「私には、出来ません。彼女は私と同じなんです」
事故の加害者が、私の所属している地域合奏団のコンサートに来たことがある。
老人ホームのイベントで、私はクラリネットを演奏したことがある。
事故の加害者も、当時の支店長も、きっと今頃は人生めちゃくちゃだ。私はそのとき、わざと運指を間違えていたのだから。
「どういうことだ!それに……おかしいだろ!!」
「お前は話し合いの時、便秘だと言っていた!ターゲットは便気を察知する!!本来なら俺より先にお前が狙われていたはずなんだ!!」
「能力の発動条件が『成功』ではなく『失敗』、容易に発動できるものだとも……!」
そういうと、デイビッドさんはものすごい勢いで立ち上がりました。万が一の時のため、ウンコを漏らしながら備えていたのでしょう。
彼の魔人能力を、私は聞いていません。私は裏切ったことで、彼に殺されるのでしょうか。それとも予定通り、ウンコを漏らすのでしょうか。
「せいっ!!」
「あなた。便秘は良くないわ」
そのとき、私には何が起こったのかよくわかりませんでした。
わかるのは、汚濁腹さんがデイビッドさんを一瞬で、完膚なきまでにボコボコにしてしまったということです。
彼女の、腹部しか攻撃しないという情報はブラフだったのでしょうか。デイビッドさんはお腹を気にしているスキを突かれているように見えました。
私の曲が、彼女の心を元に戻したとは思いません。
きっと、私よりスケールが大きいだけで、やっていることは変わらないのです。
後先考えない、子供の駄々のような、復讐。
それでも、もしかしたらと思わずにはいられません。私のような、音楽家の誇りも、実了を失った人間でも。誰かの心を動かすことができたのではないかと。
そう妄想せずにはいられないのです。
そして汚濁腹さんは去り際に、私に右腕のガントレットを渡していきました。受け取ると、じんわりと体が温かくなったようでした。
これで便秘とおさらばなのでしょう。苦手なゴボウを食物繊維のために食べなくてすみます。
ーーーーー

thirdmaguro

私は、いつの間にか大人になっていた。
ぼんやりと話は聞こえていたから、女の人を助けた。とっても懐かしくて、大好きな曲を演奏してくれたから。
「さーって、これからどうしよっかな」
「うっ!お、お腹痛い!なんで〜!」
「うわ!パンツ履いてないじゃん私!って、いたたたた!」
「トイレ行かなきゃ!」
「う、うんちしたい〜〜!!!」
お し ま い

thirdmaguro

執筆はここまでだ! 終了だぜー!

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登場人物紹介

鈴鹿歌音

性別:女性

年齢:24歳

職業:クラリネット奏者・介護事務員・清掃・素人作詞作曲家・素人の作家紛い


特徴:23才の時にとある職場の階級社会に巻き込まれ、交通事故にあい、片手の麻痺が残ってしまった残念な人生を歩んでいる女性。クラリネット奏者としての実力もまあまあな腕前であったが、右片手の麻痺のせいでプロを残念し、アマチュアとして活動をしている。未だにその人を殺したいほど恨みを抱いている。

魔人としての能力は、高校時代にコンクールの会場で目覚めてしまった能力に悩まされている。


能力:薔薇色ソリスト

曲中で一回でもミスをすると発動する面倒な能力。

彼女のソロを聞いたものは、その翌日から人生が薔薇色に変わる特殊能力。

彼女自信は、普通であると思っているが、この能力が発揮されることで人々の心の縁に入り込むことができ、心さえも操る能力である。

死んでほしい人にも効果が発揮し、相手の人生をめちゃくちゃにした経緯の持ち主でもある。

薔薇色とあるが、悪いことをした奴には、それなりの悪い効果が発揮されている事を忘れないでほしい。


殺意の目的:交通事故に遭わせた奴を呪い殺すため。


作成者:鈴鹿歌音

汚濁腹 うん子 (おだわら うんこ)


性別 女

年齢 21


能力 ウンコ食ったらケツからご飯出るアレ


読んで字のごとく、ウンコを食べると元となった食材がケツから出てくる能力。少年少女ならば誰もが冗談で妄想するソレが、彼女の魔人能力。


キャラ紹介


10歳頃に魔人となる。その後、能力に目をつけた国連魔人軍隊が取引を持ちかけ、両親は彼女を売り飛ばしてしまう。

軍人としての訓練を受けたのち、兵站担当として戦地で軍人のウンコを食っては食料を再提供する任務に就くことになる。

度重なる糞食の苦痛はついに彼女を発狂させ、うん子は国連魔人軍隊基地の哨戒をすり抜けて脱走した。

発狂した彼女はあらゆる動物の脱糞の気配、「便気」とも呼ぶべきものを察知できるようになっていたのだ。


効率よく食料をひり出すためにゆったりとした上着にノーパンミニスカートを着ている。右腕には金属製のガントレットという妙な出で立ち。

これは触れた者をぽかぽかさせて健康状態を劇的に改善させる力を持つ魔人技師謹製の防具、太陽のガントレット。国連から提供された排便の効率を上げるための装備である。これで便秘も関係なし。


現在の彼女は通りすがりに他人を脱糞させる辻斬りならぬ辻ウンコだ。執拗に腹パンによる脱糞KOを狙ってくる。


もちろん、毎回ちゃんと全部食べているぞ。


戦う理由


一人でも多くの人間の便を喰らい、食料に変えるため。それが自分の使命だと彼女は心から思い込んでいる。


作成者:マグロ3号

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