とある街の宿屋にて

文字数 558文字

「おい。飲みモン買ってくるけど、何がいい?」
 Bが、皆に訊いた。
 
「茶」
 Rはシンプルだった。
「なんでもいいので、果汁水お願いしますっ」
 Lは女の子らしかった。
「そこらへんの野グソを、お湯で溶かしたものでいいですよ」
 Kがさらりと言い放った。オレの顔が引きつる。もちろん、RとLの顔も引きつる。

 どうしてKは、こう自虐的なのだろうか。
 いいかげん、そういう事をほざくのはやめてほしいのだが、どうすればいいのだろう。
 売り言葉に買い言葉で、マジで”野グソティー”なんぞをKに渡せば絶対こいつは
「わぁ! ありがとうございますBさん!」と、にこやかに和やかにソレを飲み干すだろう。あぁ、いやだいやだ。

 
 とりあえず、Lと同じ果汁水(リンゴ)をKに買ってきてやった。Kは竹筒を開けて匂いを嗅いでから、きょとんとした。

「あら? リンゴ?」
「当たり前だろ。誰がうんこなんて持ってくるかバカ野郎」

 そう言って軽く頭を小突くと、Kは「はぁ」と生返事をした。
 Kが果汁水を飲むのを見計らって「ダチにうんこ飲ますバカ、どこにいるってんだ」とドヤ顔かましながら言ってみたら、Kが盛大に果汁水を噴き出した。

 それからしばらく、5分くらいKは照れながらむせ続けた。

 PS.
 ふと気付くと、Lがものすっげニヤニヤニヤニヤしていて気持ち悪かった。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

Kさん。

諸事情で不死だけど死にたい。自暴自棄。

R。魔王の娘。無愛想。

B。盗賊乞食根性。

家事マスター。

L。猫人。

オツムが弱いKY。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み