第4話 枕ジプシー

文字数 790文字

ずっと愛用していた枕があった。低反発の枕。そんなに高くはなくて、ネットでそれほどこだわりはなく選んだ2500円くらいのもの。

使い心地も問題なかったので長年それを使っていたのだが、去年、ついにへたりが強くなって高さが足りなく感じるようになってきた。

考えてみればずいぶん使っていたからね、ということでさっそく買い替えた。

夫婦で同じものを使っていたので、今回も同時にふたつ購入。届いた時点で今までのものにはサヨナラした。

しかし、その枕は合わなかったのである。高さがありすぎた。首が変な角度になるせいか、起きると首が痛いか頭が痛いかどっちも痛いかという日々が続くように。夫婦で同じ状況になったので、これは枕のせいだと結論づけた。

そこでふたたび新しい枕を購入することに。高さが重要だということで、今度は中身の量を調節できるパイプ枕にしてみた。実際に寝てみながら量を決められるのだから、ちょうどいいところを見つければ快適に眠れるはず。

しかし、なかなかそうもうまくいかないのである。毎晩、パイプの量を増やしたり減らしたりしながら寝てみるのだが、どうもしっくりこない。低いような気もするし、高いような気もするし。

結局、高すぎる枕よりは寝心地が良いかなと思えるところで調整をストップ。それを今も使っている。夫はというと、ある程度の調整でしばらく使っていたら、首や腰に痛みが出てきてしまった。そしてまた違う枕を導入だ。

夫の今の枕は、腰痛などにも良いとされる少しだけ単価が高いものなのだが、それでもあまり寝心地は良くなさそうだ。私のパイプ枕も、決してしっくりは来ていない。

次はもう枕専門店で買わないといけないだろうか。でも枕にそんなにお金をかけられる余裕もないのだ。

こうなってくると、最初の枕が恋しいのである。安かったのに20年もへたらず使えていたのだから、優秀すぎるではないか。あの枕にまた会いたい。
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