第1話

文字数 1,010文字

カエデ通りの葉っぱが色づいて
大きな葉が落ち始めたら
その週の土曜日は
『ブランチ・ブランチ』
と決まっています。

 ーお父さんが《ペンギン・カフェ》に
  出勤する音で圭介は目を覚ましました

その日、街のみんなは
朝から何にも食べないで
揃ってある山に登ります。

 ー布団から起き上がった圭介の顔は
  真剣そのもの

カエデ通り、メープル商店街の
突き当たりにその山、
この街が学園都市になった由来の
街のシンボル『ハカセ山』はありました。

 ーゆりさんが止めるのも聞かず
  家を飛び出して山を目指します。

今日は秋晴れ
山は紅葉真っ盛り。
街中の人は、朝からワクワクソワソワ。

 ー今年こそアイツに勝つ!

商店街の人達は
店の前に露店を出したり
山に食材を運んだりと大忙し。

 ー人の少ない山道を一気に駆け上り

山の中腹の見晴らし台では
学生さん達と先生達が一緒になって
大きなキャンプファイヤーを組んでる
真っ最中。

 ー火のないキャンプファイヤー横目に
  山の木立の間で枝を探します。

太陽が登り切った頃になると
街の人達は
商店街の露店をのんびり楽しみながら
カエデ通りの紅葉した
サトウカエデのトンネルを抜けて
さらに続く赤と黄色の山道を
キャンプファイヤー目指して歩きます。

 ーまわりには圭介と似たような
  何本も枝を持った子がチラホラ。
  中にはアイツもいます。

広場では
それはそれは大きなキャンプファイヤーが
火がつくのを待っています。

 ーアイツより沢山いい枝を拾うんだ!

そのまわりには
何店もの食材を売る移動販売リヤカー達。
肉屋さんのベーコンやソーセージ
パン屋さんのロールパンやフランスパン
果物屋さんのジャムに
蜂蜜屋さんのハチミツ
八百屋さんのイモやアスパラ
牛乳屋さんのチーズ
米屋さんのお餅や鯛焼き屋さんも人気です。
その他まだまだ沢山のお店が美味しい物を
山と積んでコチラも待ち構えています。

 ーあともう少し拾って…

そしてそのリヤカー店の
間に間に置いてある小さなテーブルで
子供達がそれぞれ拾った木の枝を
売っていました。

 ーよし!あとはコレを削るだけ…

「あの…みんな何してるの…?」
頭の上からしたその声に驚いて
圭介は思わず尻餅をついて上を見ました。

そこにいたのは
黒のタートルネックに
茶色いチェックのワンピース
黒のタイツに茶色いブーツ。
女子のファッションに疎い圭介でも
山登りに向いてないとわかる格好をした、
なのに

 ーこの山の精だ…

圭介にそう思わせる
ちょっと不思議な雰囲気の女の子でした。
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