第4話

文字数 651文字

リヤカー《ペンギン・カフェ》の前で
ディレクターチェアに座って
くつろいでいたゆりさんは
さっき森から戻って来た
マダムをつついて指さしました。

「マダム、あそこ!
圭介がガールフレンド連れてます!
かーわいーい!」
「あらホント。2人とも可愛らしいわ」

2人は何やらブランチに巻きつけた
パンのようなものをキャッキャ言って
焼きながら、パクついてます。

「えー?なんだろアレ?美味しそう」
「そう思って焼いてきましたよ。ゆりさん」
そう言ってブランチを差し出したのは
夫の葉介さんです。
「うわー。さすが旦那様」
それは大きなソーセージにパン生地を
グルグル巻きつけて焼いたものでした。
外はカリカリ中はフワフワ、
そしてソーセージからジュワッと!
「最高!」とゆりさん。

「それからマダムには
そのままのソーセージとチーズを」
「さすがゆりさんの旦那様ね。
わかってらっしゃるわ」
そのまま焼いたソーセージは
パキッという瞬間が最高です。
チーズは中だけトロっとなるように
絶妙な焼き加減。

まわりを見渡すと
こんな風に誰かが誰かに作ったブランチを
プレゼントしています。

『ブランチ・ブランチ』
それは
思っている人がいる人には
愛の告白の日でもあり
愛する人がいる人には
思いを伝える日でもあり
好きな人に感謝を伝える日でもあり
子供達には…

「あ、今度はなんかもめてる?」
見ると、
圭介と男の子が何かブランチを
見せ合って言い合ってましたが
そのうち3人で大きなマシュマロを
たくさん刺してキャッキャと焼き出しました。

そう。
子供達には楽しい楽しい火の祭り。
さあ、次は何を焼こうかな?
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