嫌疑解消
文字数 677文字
十一月二十一日 。
風紀委員を名乗る集団は、＜生徒会長＞から直接指示され、動いていたこと。そして恣意的 な取り締まりの首謀者が、＜生徒会長＞であったことが、校内放送により明らかにされた。
この校内放送に、陽菜 は関与していない。毎日陽菜 の行 く手を阻んでいた、胡桃 のグループが流したことを、後から知った。
陽菜 に対する疑惑が解消され、嫌がらせはパタリと止む――腫れ物扱いされ、距離を取られているという表現がしっくりくる状況。
とはいえ、元々陽菜 に親しく接する人は居なかった。陽菜 自身が存在しないものとして、無視されることを望み、周囲もそのように扱っていた。だから、これが本来の状態ではある。
制服のボタンは何度も千切 られ、縫い目は裂けている。陽菜 はボロボロの制服を着て、終業時刻までの時間を教室で過ごし、一人で帰路につく。
それでも昨日よりは良い――悪夢が終わっただけで十分。そう思っていた矢先。また、胡桃 の足が、行 く手を遮 る。
「勘違いしとりました。大きい心で許しとおくれやす」
学校内で生じた出来事については、生徒会の決定が絶対である。
胡桃 が処分を受けていないということは、生徒会が、胡桃 には非が無いと判断していることを意味する。それなのに、何故、敢えて接触してくるのか――。
『大きい心で』と言っているから、制度的なことではなく、陽菜 個人の許しを請うているだろうことはわかる。
陽菜 は、許せないという感情を抱 いたことが無い。それでも―― 身体中 の傷が疼く――こんな目に遭わされて、許す気持ちには、なれない。
陽菜 は初めて、許したくないという感情を抱 いた。
風紀委員を名乗る集団は、＜生徒会長＞から直接指示され、動いていたこと。そして
この校内放送に、
とはいえ、元々
制服のボタンは何度も
それでも昨日よりは良い――悪夢が終わっただけで十分。そう思っていた矢先。また、
「勘違いしとりました。大きい心で許しとおくれやす」
学校内で生じた出来事については、生徒会の決定が絶対である。
『大きい心で』と言っているから、制度的なことではなく、
