中等部
文字数 773文字
中等部に上がった陽菜 。
一年生の秋。初めての生徒会長選挙で、推薦され当選。以来、二年間生徒会長を務めた。
中等部における生徒会長の位置付けは、スクールカーストの頂点に君臨する、高嶺 の花。
生徒会長就任後、陽菜 に対する直接的な妬みや批判の声は、ピタリと止んだ。けれど、陰で言われるようになった。誰が言っているのかわからない状態で、言われている内容だけが伝わってくる。
唯一、面と向かって張り合ってくるのは、上級生の早川 伊織 。生徒会長選挙で陽菜 に敗北し、副生徒会長となった。
進学校なこともあり、選民意識の高い生徒が多い。彼女たちは、自分よりも劣ると認識した人間に対し、傲慢で威圧的な態度を取る。その中でも、早川 のそれは際立っている。
早川 は、陽菜 に敗れたと認めていない。任期中、ずっと陽菜 の粗探 しをしていた。
有りもしない不正の証拠が出てくるはずはなく、早川 は幾度となく捏造やデマの拡散を繰り返した。
純粋な能力勝負では、早川 は陽菜 に敗北する。上級生なので、学力で陽菜 と同じ土俵に上がることは無い。けれど、運動においては必ずしもそうではない。
学年では分かれておらず、上限値が無い。そのため、記録で比較すると優劣が付く。
陽菜 は、学力テストでは常に満点。運動に至っては、大会記録を次々と更新していると伝えられた。陽菜 は、抜いた記録が誰のものか、関心は無い。
抜いた側の陽菜 は何とも思っていないけれど、抜かれた側の早川 は、一方的に対抗心を抱 いている。
正式な競技であれば、その気持ちはわからなくもない。けれど、授業中に記録する値は、成績を付ける際の、単なる指標でしかない。そんなものに、どのような価値があるというのか。
陽菜 は呆れた。
早川 は今年卒業する。一年で切れる縁。生徒会以外の接点は無い。相手をする必要は無いと判断し、適当にあしらい続けた。
一年生の秋。初めての生徒会長選挙で、推薦され当選。以来、二年間生徒会長を務めた。
中等部における生徒会長の位置付けは、スクールカーストの頂点に君臨する、
生徒会長就任後、
唯一、面と向かって張り合ってくるのは、上級生の
進学校なこともあり、選民意識の高い生徒が多い。彼女たちは、自分よりも劣ると認識した人間に対し、傲慢で威圧的な態度を取る。その中でも、
有りもしない不正の証拠が出てくるはずはなく、
純粋な能力勝負では、
学年では分かれておらず、上限値が無い。そのため、記録で比較すると優劣が付く。
抜いた側の
正式な競技であれば、その気持ちはわからなくもない。けれど、授業中に記録する値は、成績を付ける際の、単なる指標でしかない。そんなものに、どのような価値があるというのか。