勇者と遺伝子操作

文字数 1,264文字

――

自分の分身をバラバラ死体にすることに

怖気づいた俺は……

新しい能力をつくって

分子レベルで分解し、バラバラにすることにする

血が流れない、

ポリゴンや粒子みたいな方向性で

外道で非人道的な大量虐殺などを平気で行う割りには


意外と俺はグロに弱い

それでも、

分割された体のパーツが形成されて行く経過は、やはり不気味なものでしかなく

突然腕に目が出て来るなど

プロセスも完全にランダムなので


余計にホラー感満載でもあった

――

今、クローンには魂がないが


もし将来、

自我が目覚めるようなことがあれば


この世界の人間として

生きて行ってもらうことになるだろう

その方が人口問題も解決出来て

ラッキーではあるのだが

もしそうなった場合


クローンが全員男というのは

いかがなものであろうか

今はまだ子供である少女達が

大人になった時


超モテモテなのは間違いないだろう

いやそんなことよりも


人口における年代構成比の問題が解決されたとしても


男女構成比の問題で、やはり絶滅してしまうだろうな

そもそも俺と同じ姿形のクローンが


この世界の人間の大半というのは

どうなのであろうか

まぁ、そこは置いておくにしても


種の存続ということを考えても


なんとか女性のクローンも

つくり出したいところではある

――遺伝子操作、か

次に勇者はクローンの遺伝子を

操作出来る能力をつくり


女型のクローンを誕生させることに成功した。

まぁ、ちょっとまだ

女性らしさが足りないような気もするが

まぁ、とりあえず

服は着ていて欲しいものだな

――
――

しかし、これが出来るのであれば

もはや何でもあり、やりたい放題だな

血が濃い者同士、

遺伝子が近い者同士で子供をつくると


問題が生じやすいと

聞いたことがあるし


適度に各個体の遺伝子を変えておく必要はあるか

もしクローンが万一

造反、暴走した時のために


自分の能力より少し劣化した能力値に設定し直すことも必要か

俺のクローンだからな、

どうせその内増長すんだろ

ただこの後に

大陸を二分するという壮大な土木工事の

人員となってもらう必要があるから

空中浮遊能力と転移系能力は

付けておかなくてはならないだろうな

もはやそれは神をも

冒涜しかねない行為。

主は自分の姿に似せて人をつくった、

と言う言葉があるが


いくら何でも似せ過ぎてはいないか?

まぁ、俺のクローンなのだから

当然ではあるのだが

能力で遺伝子操作まで行い


まるで自分が創造主にでもなったような気分だな

もし本当に

神が人間を創造したとするならば


実際に、

こんなプロセスだったのであろう、

というのはよく分かる

ただ、まぁ……
もし俺が魔王を倒して、

この世界の覇者となったとして

その世界の人間が全員、

自分とそっくりだったとしたら

なんて悪趣味なんだろうとは思うがね
やはりどこかから

違う血を入れたいところだな……

試行錯誤を繰り返し、それなりにクローンの量産体制が出来上がって来た時、


そこでようやくはじめて勇者は気づく。

あ、これ、最初から

俺を複製コピーする能力

つくればよかったやつだ

こうした研究開発には、痛みと失敗は付き物である。


こうして勇者は、自由自在に操れる自分の分身、

クローン部隊を手に入れる。

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