ローラー作戦

文字数 1,385文字

敵から一転して

味方になった巨大ゴーレム達

厳密に言うと

味方の外側が変わっただけで


敵の中の人が

入れ変わっただけでもあるので


少々ややこしい

数は十体のみだが


数百メートルはある巨体が

敵の大軍勢を蹴散らして行く

上空の敵大群を

その巨大な手で一掻きすると

そこだけごっそり敵がいなくなる

最初その巨大な足で敵を踏み潰し、

大地ごと敵を蹴り上げていたが

なんかこれ

どうにも効率が悪いべ

こんなのキリがないわね
いっそ、横になってみたらどうだ?

大袈裟な動きに対して

どうにも効率が悪く

少しイラついたようで


しまいには大地に寝転んで

ゴロゴロと回転しはじめる

おぉ
これ、効率いいんじゃないかしら
楽だし、いいな

それ、地味に一番効くと思うわ

非常に重い超巨大ローラーが

大軍勢を押し潰して行くというのは

一番効率が良い方法ではあった

ただ中の人が、

以前は死に掛けていた年寄りだと知っている俺には

介護の必要な寝たきり老人が

ただ布団でゴロゴロしている


そんな風にしか見えない

元老人の寝返りに

押し潰される敵軍勢か


ちょっと同情するわ

俺は、より確実に効率良く

敵の軍勢を大量虐殺してもらうために

クリエイト能力を使って

超巨大な円筒状の鉄塊を創り出した

横幅およそ三百メートル、

高さ百メートル弱の巨大な円筒、鉄の塊

それを巨大ゴーレムが押せば

巨大なローラーとなる

巨大な円筒の鉄塊を十個


それぞれを十体のゴーレムが

後ろから押して進む

敵の軍勢はその下で

次々と押し潰されて

ぺしゃんこになって行く

密集した大軍勢には

おそらく最も効果的で効率の良い

大量虐殺の方法であろう

抵抗虚しく蹂躙されて行く敵軍勢


巨大なローラーは

あっという間に血塗られて行く


俺は改めて

クリエイト能力のやばさに気づく

複雑な物が造れないにしても


創り出す物の質量に

制限がないのだとしたら

西側大陸とほぼ同じサイズ、

超重量の球体を空から落とし


大陸ごと押し潰して沈めれば

このゲームはおそらくそこで終わる

その場合


西大陸と球体の質量分、

海面が上昇して


東側の大陸もそのほとんどが

水没することになるので


実際にそれを決行することは出来ないが

いずれにしても

とんでもない能力であることを

再認識させられた

人間がどんなに複雑な

破壊兵器をつくろうとも


シンプルに

圧倒的な物質の質量で押し潰すのが

最適だと言うのも


皮肉が効いていて俺好みではある

ただやはりクリエイト能力は

その原理が分からないので

あまり好きではないが

結果、核にはじまったこの戦い、

途中膠着状態でグダグダになり

最後は巨人が

超巨大ローラーの超重量で

押し潰すという


非情にシンプルな最後で終局を迎えた

それだけ聞きくと


何を言っているのか

意味がさっぱり分からないだろうが……


TRRRRRR……

TRRRRRR……

勇者の携帯が鳴る。
テトからの電話だ

勇者様、魔王の軍勢が

海洋ルートから南下して

東大陸に向かって来ています

当然陸地が無理となれば、

海から侵攻して来るしかない

それがわかっていたので


予めテト達少年少女魔道士団に

西大陸の海上を

千里眼で監視させてはいたのだ……

やはり来てしまったか

予想していたこととは言え、

それは憂鬱な報せでもある

何度も脳内でシミレーションしたが


水の中を自由に動き回れる

水棲生物が向こうの軍勢にいる限り


勝算があまり見込めない

地上のような訳にはいかない

もし最後の核を使うとしても


こればかりは海洋が汚染され

東側の人間にも大きな影響が出る

海は一つに繋がっているのだから
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色