第4話 便利屋
文字数 1,979文字
机の上に持っていた本を投げつけながら私は叫ぶ。そしてそのまま椅子に崩れ落ちた。
ここは古い本特有のちょっと黴くさいような匂いの充満する図書室。読書に縁のない私が何故こんな所にいるのかというと……
今日の朝先生から頼まれた仕事。それは図書室にある新刊の図書を分類して、棚に並べるという本来ならば図書委員がやるべき作業だった。
時計の針は6時を指していた。この学校は部活も含めて7時までには下校しなきゃいけない規則になっている。
私はもうすっかりやる気を失ってしまい、机に突っ伏した。
声のした方に目を向けると、そこには昨日再会したばかりの雄太君が立っていた。
あれ?これってデジャブ?
一気にそう言うと、中に入ってきて私の隣の椅子に座る。
そして何も言わず、目の前の本を一冊取った。
ぶっきらぼうに言っているが雄太君なりの優しさが伝わってくる。
私はフッと息を吐くと、同じように本を取った。
私と雄太君は二人して机に倒れ込む。そして同時に長いため息をついた。
時計は7時5分前。本当にギリギリ……
そんな会話をしていると、向こうから誰かが歩いてくる。
目を凝らすと今話題にしていた高崎先生だった。
ハハハ、と先生が笑う。そんな先生に私も雄太君も苦笑した。
高崎先生ってイケメンで物腰柔らかで生徒にも敬語で話すし、優しいし授業はわかりやすいし密かに女子に人気だけど、たまにこういう天然発動するんだよね~
まぁそんな所がいいんだけどね。……って別にそう言うアレじゃないから!
なんて誰に言ってんだかわからない事を思っていると、先生の心配する声が聞こえた。