6 人間と文明の関係が分かる!

文字数 860文字




第六に、この図は人間の本質から、
文明の成り立ちを説明することができます。

文明の二本柱である技術と政策は、
人間の二大特質である、
限りない想像力に基づく知性と、
限りない欲求すなわち人間性から
生み出されると説明できるのです。
(詳細については『想像力、欲求と文明』を
ご覧いただけましたら幸いです。)

まず、知性について言うと、
知性とは因果法則の発見・利用能力ですが、
これは合理的な推論から完全な虚構(フィクション)に至る、
広い意味での想像力(イマジネーション)に基づいています。

そしてこの、無制限的な想像力による知性が、
自然法則に基づき、社会活動を豊かにする
自然科学的技術と、
法律概念や貨幣価値という、政策実現を助ける
社会工学的技術を可能にします。

知性と言えば合理的推論を考えますが、
科学的仮説も誤りと分かれば空想となるように、
推論と空想は地続きなのでしょう。

次に、人間性について言うと、
文明活動は本能だけでは営めない一方、
様々な活動を可能とするので、
欲求を無制限化(多様化・可変化)させます。

そしてこの限りない欲求こそが人間性であり、
現行技術下で紛争を抑制し、社会活動を助ける
利害調整政策と、
その限界を超えるために科学・技術を助ける、
技術的政策を必要とさせます。

人間性と言えば善性が思い浮かびますが、
人間は様々な欲求を持つ複雑な生物だと言えば、
悪性も含まれることになりましょう。

知性と人間性の関係について言うと、
通常、両者は区別されますが、
実は電算機(コンピュータ)の入出力のように不可分であり、
文明活動を通じて相互作用し合うので、
コインの裏表のような関係にあり、
広い意味では同義ではないかとも思われます。

例えば『真の知性とは、人間性も含む』とか、
『知性の乏しい人間以外の動物では、
人間性が論じられることはない』と言われると、
確かに両者の密接な結びつきを感じます。

いずれにしても、〝文明の星〟図によれば、
知性と人間性という人間の二大特質が、
文明の両翼である技術と政策を生み、
両者がそれぞれお互いと社会活動を助けて、
ロータリーエンジンのように、
文明発展の循環(サイクル)を回すことが分かります。
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