第4話 ケーキ屋のケンさん=不景気なケーキ屋を景気よくする

文字数 1,567文字

東京にコロナ禍が蔓延り、人々が金欠の断末魔に喘ぐとき、

その漢は、北東からふらりと現れるという。

○南千住の比較的中の上なケーキ屋、Oishiize Nakamura de Minamisenjuの店内、神無月の夕暮れ


リンゴーン♫
(ロリータ風売り子)いらっしゃい。あら、幸一くんにおばあちゃん、久しぶり。
(幸一)今日は、僕の誕生日だ。

バースデーケーキが楽しみだなぁ。

幸一くん、お父さんとお母さんは元気?
うん、父ちゃんはコロナで失業中..

母ちゃんは、東北の銀山温泉に出稼ぎに行った。

ははっ、そうか。
引きつる売り子。
(幸一の祖母、梅子)

幸一っ、余計なこと言うもんじゃありませんよ。

...予約しておいた幸一のケーキ、おいくらでしょうか。

5号のチョコレートケーキでしたね。出来てますよ。ちゃんと幸一君の名前も入ってるんだから。

サービスにココアパウダーもつけますから、皆で飲んで下さいね。幸一君の九歳の誕生日だから、蝋燭も九本入ってますからね。..税込みで3300円です。

財布を確認する梅子。
(お金が足りないわ)

...すみません、現金が足りないのでキャッシュカードでもいいですかね?


キャッシュカードを売り子に手渡す梅子。
...Ppppppp!
カードに残額がなく、異音がするレジ。
すみません...

おばあちゃん、このカードは使えません。

騒ぎを聴きつけ、奥から出て来た店主オイシーゼ中村。
何の騒ぎだ?さっきから。
このお客さん、

バースデーケーキを予約したんだけどお金がなくて。

どうもすみませんね。
お客さん...ウチも商売なんでね。 

お金の無い人にケーキを渡すわけにはいかないんだよ。

悪いけど。

...では、これは戻させてください。
一旦出された幸一のケーキを泣く泣く押し戻す梅子。
幸一、帰りにコンビニでアンパン買って帰ろう。

それで、我慢しておくれ。

うん、ボクそれでいい。

家が貧乏なんだから、我慢する。

(...このコロナ禍で、世知辛いな)

泣かせるぜ、全く。

待てっ!

そのバースデーケーキ、差し戻す必要はない。

んっ?何者だ。
北東からケンさん登場。
代金は、既に振り込まれているっ!
おおっ!

既に電子マネーで倍の6600円もっ!

お金さえもらえれば、文句はありませんよ。


Pppp...! (すみません、このカード使えません)

Ppppp...! (すみません、このカード使えません)

Ppppp...! (すみません、このカード使えません)

騒ぎを聞きつけた貧しい母子家庭が長蛇の列。
店長、貧しい人たちでいっぱい。

でも、みんなお金がないわ。

悪いが、ウチは慈善活動でケーキ作ってるわけじゃないんでね。金がない奴は帰ってくれ。
バリバリバリバリっ!
寒くなってきたので、上半身裸にならずに胸の前ボタンだけ開けるケンさん。
胸に七つのキャッシュカードを貼り付けている漢っ、

北東のケンっ!

(面倒くさくなってきたので、自己解説するケンさん)

代金は既に振り込まれているっ!

Oh! 電子マネーが飛んで来た。50万円もっ!

あんたが、あの噂の北東のケンさんかい。

もー、ケーキなんかいいや。

もってけ、ドロボー。

(代金は貰ったので強きに出る店主オイシーゼ中村)

わーい、わーい!

ギャーギャー!

速いもん勝ちっ!


既に、掠奪状態の店内。

(poor lives matter !)

どうもすいませんね。
あざとく風呂敷にケーキを包む梅子。
おばあちゃん、

お礼にケンさんに一発やらしてやりなよ。

幸一、あんたそんな不謹慎なことどこで。
失業中の父ちゃんのエロビデオ。
干したり、熟れたりしたのは柿だけでいい。 

(若い娘が好きなケンさん)

秋の迷言を残して、颯爽とハケるケンさん。
リンゴーン♫
はーっははは。

全くカッコいいんだか、悪いんだか分からんヒーローだぜ。参ったね、こりゃ。

(50万円貰ったので、上機嫌な店主)

終わりがグダグダだわ。
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