第1話 イントロダクション
文字数 2,196文字
―そう私たちは今まさに乗ってしまったんです。忘れられたはずの都市伝説的幽霊列車に―
まあ正確に言うと乗ったのではなくて、怪しいとわかっていながら犬の車掌の可愛さに誤魔化されてなんとなくノリで乗っちゃた感じなんですが‥‥。
何でそんなことになってしまったのかと言うと、話は二三時間くらい前に遡ります。
私の名前は白井ユリ。雛城高校二年生。部活は無所属・・・は無理なので文化部という文化祭の時だけ動員される人員にカウントされている。
その日の帰りに、友人のユウとコウと一緒にハンバーガーチェーンの和寿バーガー村山台駅前店にいた。私は届いたばかりの熱々のフライドポテトをかじりながら、ほか二人の友人たちに幽霊列車が現れるという噂が載せられてるオカルト専門サイトをスマホのブラウザに開いて見せた。
「あっそれならわたしも聞いたことあるかも。 YouTubeで昔のテレビ番組の録画があってさ、見てみたんだけど怪奇特集みたいな二時間番組で扱われてたよ。駅名は伏せられてVTRも周辺のビルとかモザイクかかってるんだけど確かに村山台駅だった・・・・。けどさぁそんな物騒な話なんて聞いたこと無いでしょ?たぶんユリのその話も大昔の話だって」
「あっそれ!それらしい話を私も聞いたよ。なんでも昭和の大昔に作られた雛城高校旧校舎ってのがあって、その三階のトイレに当時現役の花子さんがいたらしいとか。その旧校舎は壊されて無くなったんだけど、新しい校舎になっても在校生がコックリさんで花子さんを召喚しようとやりまくった結果、怪奇現象がたくさん起きて収集つかなくなっちゃって、八王子の偉いお坊さんに来てもらってお経を上げてもらったんだ、とか嘘のような本当の話だって数学の岸田が言ってたよ」
とこんな感じで、私の好奇心から二人を巻き込んで、忘れられた都市伝説である『村山台駅の幽霊電車の噂』探索は、ハンバーガー店を出た頃には私よりかコウの方が興味を持ったようで、彼女の陸上で鍛えられた脚力に逆に引きづられるように、私とユウを含めた三人はそこから歩いてすぐの村山台駅へと向かうのだった。