第3話 幽霊列車
文字数 2,558文字
そこには青白く仄かに光る謎の列車が止まっていた。
最近の電車には見えなかった。昭和かもっと前の古いデザインな気がする。その列車はとにかく長くて何両編成かわからなかった。
振り返ると周りの風景は現実の世界ではなく、まるで宇宙のように暗闇が何処までも遠くまで続いている。その中で駅の構造物と私たちだけが孤島のように存在していた。
ふと視線を変えて私たちが降りてきた階段の方を向くと、連絡橋が次第に消えていくのが見える。橋を構成する橋脚や壁がコンピューターグラフィックスのポリゴンのように細かく分解されてバラバラになって真っ暗な底なしの奈落へと次々に落ちて消えていく。
すると何処からともなく声が聞こえてきた。その声は中性的でかわいい声だった。
辺りを見渡してみてもが誰もいなかった。
その声はもう一度聞こえてきた。低い場所から聞こえて来た気がする。
そこには一匹の小さな犬がいた。ホームの石の床にチョコンと座っていた。白と黒のツートンの小型犬でそれっぽい小さな帽子が上に乗っている。
私はそれでもやっぱり騙される気がして、あたりにビデオカメラが仕掛けられているんじゃないかと探してみた。しかしここは辺り一面の暗闇に閉ざされた孤島のような状況だ。さっきまであったはずの連絡橋や壁や橋脚なども跡形なく喪失していた。この暗闇自体がドッキリの為に駅ごと瞬時に入れ替える大掛かりなセットなどありえなし、超常的なチカラが働いたとしか思えなかった。完全に四番線ホームに取り残されてしまったみたいだ。もしくは閉じ込められたというべきなのかもしれない‥‥。
私たちはしばらく無言のままお互いの顔を見合わせた。
私たちは覚悟を決めて乗り込んだ!
車両の中は清潔で内装も傷んではいなかった。席は古風な向かい合わせで四人がけの椅子が整然と並んでいる。
三人乗り終わると、小型犬の車掌は私たちを見てワン!と一声吠えた。そして扉がしまった。
そんな感じで列車に乗り込んだ私たちは立ったまま話しをしていいたがそれが言い合いにかわりしばらくもめていたけど、そのうち乗ってしまったものは仕方がないとあきらめて、一緒にボックス席についてしばらく黙り込んでいた。そして少し気持ちが落ち着いきたのか三人ともおとなしくなった。
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ーそして今に至る。
サンリオキャラクターのような見た目の犬の車掌にうまく乗せられてしまったような感じだけど、あのファンシーな可愛さにふさわしくない、これは冗談抜きのガチ幽霊列車なのかもしれない。
私は世界の変化に追いつけずに現実感を何処かに失ったまま、車窓の外を見つめていた。星の存在しない宇宙のような真の暗闇の中を通り過ぎているようで、まるで無限の長さのトンネルの中を走り続けているような気もした。
それからどのくらい時間が経っただろう。外は変わらない漆黒の景色がつづいていた。しかしだんだんと前方からだんだんと明るくなって行く。
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ーそして今に至る。
サンリオキャラクターのような見た目の犬の車掌にうまく乗せられてしまったような感じだけど、あのファンシーな可愛さにふさわしくない、これは冗談抜きのガチ幽霊列車なのかもしれない。
私は世界の変化に追いつけずに現実感を何処かに失ったまま、車窓の外を見つめていた。星の存在しない宇宙のような真の暗闇の中を通り過ぎているようで、まるで無限の長さのトンネルの中を走り続けているような気もした。
それからどのくらい時間が経っただろう。外は変わらない漆黒の景色がつづいていた。しかしだんだんと前方からだんだんと明るくなって行く。