第26話

文字数 713文字

 わたしは急いで帰宅すると、サッサと私服になり、着替えもちゃんと用意をしてきた。

 この前は純白だったけど、今日は、チェックのワンピースにした。

 人のお家にお泊り……。親戚の家ぐらいしか経験は無いな……。しかも、年齢が一桁の頃のことだ。

 まさか高校生で恋人の家に泊まる日が来るなんて、思いもしなかった。

 と、考えている間に真琴さんの家に到着していた。

 意外なことにわたしの家と真琴さんの家は近かったのだ。

「静枝さん、いらっしゃい」  

 当たり前だけど真琴さんも私服に着替えていた。ジーンズにTシャツというシンプルさだ。そのシンプルな着こなしが真琴さんらしい。

「ご飯食べて、お風呂入って、映画見るっていうのが今日の予定ね」

「うん。良いよ」

「じゃあ、私の部屋に荷物置いてきちゃって、私、ご飯の準備してるから」

「うん」

 わたしはまるで借りてきた猫状態になっている。自分でも、よくないのはわかってるけど、なかなか緊張がほぐれない。ご飯食べればほぐれるかな。

「今日のご飯はチャーハンなんだ。静枝さんチャーハン好きだよね」

「チャーハン……好き」

 一回も言ったことないけどチャーハンは好き。

 前と同じように真琴さんが料理している姿をジッと見つめた。

 包丁のトントントンという音がリズムよく聴こえてくる。そして、ここで華麗なフライパンさばきを繰り出した! ……なんて。わたしは料理の実況には向かないみたいだ。

「ハイ。できた」 

 そういって笑顔の真琴さんが差し出したお皿には、お茶碗で形を整えたらしく、かわいく、ふんわりと丸いお山のようなチャーハンが盛り付けられている。
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