第31話
文字数 481文字
「映画の余韻が抜けないうちに見ておきたいと思ったの。私もしばらく見ていなかったし」
彼女は周りを見回したあと、顔を近づけた。
わたしは小さく頷いた。
「静枝……目、閉じて」
行為は、ごく自然にはじまっていた。
初めてしたときのように、ゆっくりとやさしく、でも、もっと深く。
「ふぅ……真琴」
お互い意識せずにいつもの呼び方をやめていた。
短い真琴の髪をわけ、愛らしい唇を重ねあわせると緑葉に乗った朝露の珠を舌にのせたように心が和み、果てしなく広がる緑の森林を彷徨い始めるわたし。
痺れるような心地よさに、わたしの意思とは関係なく胸の内を温かい霧が短い間に何度となく過ぎて、また温もりが覆う。
真琴の舌が甘い。真琴もわたしの舌を甘いと思っているのだろうか。
……幸せ。わたし……もう、戻れない。戻りたくない……!
閉じたわたしの瞼からひとすじ熱い涙の粒が流れ落ちた。
「ベッドひとつしかないけど良い? ……静枝」
「うん……真琴」
最後に周りを確認して今度は軽くキスを交わし、わたしたちは手を繋いで帰った。
彼女は周りを見回したあと、顔を近づけた。
わたしは小さく頷いた。
「静枝……目、閉じて」
行為は、ごく自然にはじまっていた。
初めてしたときのように、ゆっくりとやさしく、でも、もっと深く。
「ふぅ……真琴」
お互い意識せずにいつもの呼び方をやめていた。
短い真琴の髪をわけ、愛らしい唇を重ねあわせると緑葉に乗った朝露の珠を舌にのせたように心が和み、果てしなく広がる緑の森林を彷徨い始めるわたし。
痺れるような心地よさに、わたしの意思とは関係なく胸の内を温かい霧が短い間に何度となく過ぎて、また温もりが覆う。
真琴の舌が甘い。真琴もわたしの舌を甘いと思っているのだろうか。
……幸せ。わたし……もう、戻れない。戻りたくない……!
閉じたわたしの瞼からひとすじ熱い涙の粒が流れ落ちた。
「ベッドひとつしかないけど良い? ……静枝」
「うん……真琴」
最後に周りを確認して今度は軽くキスを交わし、わたしたちは手を繋いで帰った。