第16話

文字数 648文字

 片付けが完璧に終わったあと、わたしたちは真琴さんの部屋に行き、お互いの思いをぶつけてみた。

「私、静枝さんと恋人同士だとずっと思っていたよ」

「そ、それはいつからですか?」

 思わず敬語になっていた。ついでに声もひっくり返った。わたしは真琴さんに思いを秘めたまま、友達でいたわけで、その真琴さんが、わたしを恋人としてずっと見ていたなんて納得できるわけがない。

「いつって……手紙をもらった日から」

 一か月……。わたしは一か月無駄……。いやいや、楽しかった日々を無駄なんていうのはやめよう。

「で、でも、わたしはお友達になってくださいって手紙を渡しましたよね?」

 手紙にはちゃんと友達になってもらうために怪しまれない程度に書いたつもりだったのにそんなに下心が透けて見えたというのか。

「お友達って言うのは周りを気にしての比喩表現だと……。ただ、あの手紙には理由がなにも書いていなかったのが気になったんだけど」

「え!? 嘘! あんなに丁寧に書いたのに!」

 思わず、さっきまでの敬語口調が吹っ飛んでしまった。

「あ、あの……もし、持っていたらでいいので、あのときの手紙を見させてもらっても」

 真琴さんはありがたいことに厳重そうな収納ファイル的なものから手紙を出してくれた。

 そんなに大切にしてくれていたなんて……と感激している場合ではなかった。

 一度手渡した手紙を再度自分で確認するなんて恥ずかしいことこのうえないんだけど、意を決して、手紙を見ることに。

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