第7話 2023 夏、匠の巣から

文字数 1,486文字

我が家の軒下にはツバメの巣があって、
毎年、ツバメが営巣して繁殖しています。
時期にバラつきはあるものの、
4月には一番ツバメが帰ってきて、5月中~後期頃には巣立っていきます。
その後、二番ツバメが6月中頃から7月にかけて巣立ちます。
その年、巣立った若鳥が戻ってきて、巣で夜を過ごしていることもありますが
7月になると我が家の軒下はちょっと寂しくなります。

さて、
我が家の軒下には『この春の出来事』の「独身男性彼女無し君(仮)」が作った
巣が今も健在で、この巣は人類の私が見ても惚れ惚れする出来栄えで、ここ数年の風雪に耐えて建造当時の面影を残し、多くの雛がここから元気に巣立っています。
『ちゅん太さんと私』の、ちゅん父の作った巣が、兄者とちゅん太さんが巣立った後、最初の台風であえなく崩落して跡形もなくなったのとは対照的です。

今年は3月の早い時期からツバメが営巣して、三番ツバメまで、この「匠の家」で子育てを終え、みんな無事に巣立っていきました。

ツバメは雛の孵化後に卵の殻を、巣から離れた場所に捨てに行くそうです ( 巣の下に卵の殻が落ちていると雛がいることが外敵にばれちゃうので )
たまに、巣立って空になった巣の下に卵の殻がひとつだけ落ちていることがあって、これは「大家さんへのお礼」とか言われている様です ( 諸説あり )。 

私も何個か拾って、なんとなく玄関に飾っています。
その、お礼というより、巣を掃除して立ち去っているのではなかろうか?
とかも、思うんですけども ( そんで、貧乏性の大家が拾う … )

で、今年最後の店子ちゃんが引っ越した後に、
何があったのか ?
と、思うほど、巣の下にいろいろ落っこちていたのでございます。
羽や卵の殻がちびっと落ちているのは毎年なんですが、
大掃除 ?  と思うほど羽と大量の草 ( 巣の中でクッション的に使用していたと思われるなんやかや ? ) が落ちていて、
最後の店子ちゃんきれい好き ?
とか、思っていたのですが、

次の日から、軒下にタンブルウィード ( 西部劇で転がっている草 ) が …
直径10~15㎝弱の丸まった草が落ちていました ?
どこかから転がってきた ?
と、お掃除して気になっていたんですけれども、 
… ども、

3~4日同じ場所に落ちていると、さすがに怪しい …
今までも、ちゅん父みたいに軒下を泥だらけにする店子ですとか、
やたらと巣に枯れ草を刺している、華道 ? フラワーアレンジメント ?  みたいな
アーティスト店子がいたのですが、
この大きさのタンブルウィード … となると、多分、ツバメさんじゃない、
今までも、ツバメがいない冬期にめっちゃ団子状態でスズメさんがみちみち巣に入っていたり、 … したことはあるのですが、

誰 ?
何やってんの ?
と、訝しんでいたのですけども ー

一週間ほど後に犯鳥が解明します。
ハト … でした。
玄関に出た私が目撃したものは、
一羽のハトが持てるだけの巣材の草を巣に … 
ぐいっと押し込んでいる姿でした。
いや、その、サイズを考えてハト、
唖然とする私を尻目に、ぐいぐい、ぐいぐい、
あ、タンブルウィード落ちた。
なんか、クルックーとか、捨て台詞言って飛んでいきました …

私に犯行を見つかったからなのか、一週間営巣しようとタンブルウィードつっこんで無理だと気が付いたのか?
その後はタンブルウィードが落ちていないので、ハトは来てない様子なんですが、
なんで大丈夫だと思ったんだろうハト …


匠の巣はハトの無茶な増築にも耐えて、きちんと原型を保っております。
来年も誰か帰って来てくれると、いいなあ。

でも、ハトは来なくていい …



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