第4話 守れ著作権
文字数 1,273文字
日本中がメダルラッシュに沸くころ、裏では大騒ぎが怒っていた。表彰式で使われている模擬のメダルに対し、本物は後で選手に渡される。そのメダルがおもちゃのメダルにすり替わっていたのだ。
「本物はどうした?まさか製造ミスではないだろうな?」
メダルのデザイナーに加え製造者が呼ばれた。
「馬鹿な!私はきちんと指定どおり造りました。こんな鳥頭のメダルなんて作った覚えがない。」
作治は技術者の誇りにかけて誓った。
「必ず犯人を突き止める。」
作治はメダルの公募デザインの中から類似した作品を見つけた。
「この作品は最終選考で一度選ばれたにもかかわらず、後に盗作疑惑が浮上したため落選となった作品です。」
選考委員の一人が証言した。藤村作太郎。
「兄さんのだ。」
それは作治の兄だった。
「これは、スザク。やつはこの会場にいるはずだ。」
報道関係者として取材にあたっていた映美にセイリュウが告げた。
「どこだ。」
取材陣も捜査に加わった。そして、最後にメインスタジアムの奥の一室に開かずの部屋を見つけた。
「会長室。」
会長自らがスザクに取りつかれていたのだ。会長が作太郎を使って別のメダルを製造していた。
「私が選んだこのデザインを没にするとはけしからん。」
「日の目を見ることのなかった無名の作品。それを私が世に出してやったんだ。」
会長の傷ついた自尊心に、プライドの高いスザクがとりついた。そして、おなじく傷ついた作太郎を操って造ったメダル。
「目を覚ましてくれ、兄さん。」
作治の叫びは部屋の作太郎には届かない。
「無理です。彼はこころを閉ざしている。」
コクリンたちは開剣で開いた渦を通って中へ入った。そこには真っ赤な顔をした会長と真っ青な顔の作太郎がいた。
「何が狙いなのですか?」
映美がマイクを向ける。
「洗濯板のおばさんは引っ込んでて。ここはぴっちぴちのセイリンちゃんに任せて。」
セイリンは映美を押しのけると
「ニュウジョウケン・・・」
と鼻声まじりで自慢の胸をアピールした。
「ガキが。」
それをスザクは一蹴した。スザクの周囲には激しい憎悪の炎が渦巻いていた。
「やはり、おこちゃまね。働く大人のかっこよさを見せてあげる。」
ミドリンに変身した映美は片足で立ち、銀色に光るマイクを頭上に回した手に構える。
「ホウエイケン!」
彼女の周囲は濃い紫色になり龍の影が現れた。マイクの位置にある龍の口からは漆黒の影が波打ちながら会長の後ろにいるスザクに達した。
「なんだ。何も見えない。ああ、私の栄光もすべて見ることができない。」
影に包みこまれた会長と作太郎は倒れた。ミドリンの包影圏は、相手の周囲を暗黒に包み込む。その闇にスザクの炎も消えた。
「五倫の書、第四章。相手への敬意を忘れるな。」
気力を失ったスザクはコクリンの開剣で正気にもどった。
かくして、本物のメダルを作った技術者、作治がスザクの力を得て、猪炸拳の使い手『ニチリン』となった。
「本物はどうした?まさか製造ミスではないだろうな?」
メダルのデザイナーに加え製造者が呼ばれた。
「馬鹿な!私はきちんと指定どおり造りました。こんな鳥頭のメダルなんて作った覚えがない。」
作治は技術者の誇りにかけて誓った。
「必ず犯人を突き止める。」
作治はメダルの公募デザインの中から類似した作品を見つけた。
「この作品は最終選考で一度選ばれたにもかかわらず、後に盗作疑惑が浮上したため落選となった作品です。」
選考委員の一人が証言した。藤村作太郎。
「兄さんのだ。」
それは作治の兄だった。
「これは、スザク。やつはこの会場にいるはずだ。」
報道関係者として取材にあたっていた映美にセイリュウが告げた。
「どこだ。」
取材陣も捜査に加わった。そして、最後にメインスタジアムの奥の一室に開かずの部屋を見つけた。
「会長室。」
会長自らがスザクに取りつかれていたのだ。会長が作太郎を使って別のメダルを製造していた。
「私が選んだこのデザインを没にするとはけしからん。」
「日の目を見ることのなかった無名の作品。それを私が世に出してやったんだ。」
会長の傷ついた自尊心に、プライドの高いスザクがとりついた。そして、おなじく傷ついた作太郎を操って造ったメダル。
「目を覚ましてくれ、兄さん。」
作治の叫びは部屋の作太郎には届かない。
「無理です。彼はこころを閉ざしている。」
コクリンたちは開剣で開いた渦を通って中へ入った。そこには真っ赤な顔をした会長と真っ青な顔の作太郎がいた。
「何が狙いなのですか?」
映美がマイクを向ける。
「洗濯板のおばさんは引っ込んでて。ここはぴっちぴちのセイリンちゃんに任せて。」
セイリンは映美を押しのけると
「ニュウジョウケン・・・」
と鼻声まじりで自慢の胸をアピールした。
「ガキが。」
それをスザクは一蹴した。スザクの周囲には激しい憎悪の炎が渦巻いていた。
「やはり、おこちゃまね。働く大人のかっこよさを見せてあげる。」
ミドリンに変身した映美は片足で立ち、銀色に光るマイクを頭上に回した手に構える。
「ホウエイケン!」
彼女の周囲は濃い紫色になり龍の影が現れた。マイクの位置にある龍の口からは漆黒の影が波打ちながら会長の後ろにいるスザクに達した。
「なんだ。何も見えない。ああ、私の栄光もすべて見ることができない。」
影に包みこまれた会長と作太郎は倒れた。ミドリンの包影圏は、相手の周囲を暗黒に包み込む。その闇にスザクの炎も消えた。
「五倫の書、第四章。相手への敬意を忘れるな。」
気力を失ったスザクはコクリンの開剣で正気にもどった。
かくして、本物のメダルを作った技術者、作治がスザクの力を得て、猪炸拳の使い手『ニチリン』となった。