第5話 棄権は危険?!終わらないマラソン
文字数 1,609文字
いよいよ、最終種目。パパママ・トライアソボンが始まった。沿道には日の丸を振る人々が整然と並んでいた。
「今回は、こどもたちの声援が多いですね。」
解説者が中継ドローンから話す。
「今、私たちは選手団の上空にいます。新々国立競技場を後にして、現在は先頭集団は葛西臨海公園を超え、まもなく東京ヒゼニーランドに到達します。ここでは指定されたアトラクションで男女ペアで遊ばなくてはなりません。」
アナウンサーが畳み掛けるように実況する。
「人気アトラクションはタイム加点が付きますが、どれも長蛇の列。あっと、ここでパパとママ別れて走り始めました。ママさんたちはアトラクションに一目散ですね。パパさんはいったいどこへ向かおうというのか。」
「これはパパさん得意のファストパス・ダッシュですね。指定時間帯優先券を取って、後の展開を有利にしようという作戦ですね。」
解説者は冷静だ。
「今回はスマートフォンなどの電子機器は使えませんからね。各選手どうやって情報を得るのかも見ものです。」
「あーと。はやくもママさんのキャスト攻撃が炸裂しております。ペアが揃わないと並ぶことができません。あっと、偽装ペアが発覚して失格した選手が出たもようです。年の差ベアはチェックに手間取ってます。ファストパスをゲットしたパパとここで合流。」
「人気アトラクション、びっくりサンタ・待つんねんから中継です。」
「サンタからのびっくりプレゼントがもらえるとあって、普段は子供たちで大人気ですがとにかく待ち時間が長いこのアトラクション。選手たちの多くがファストパスをゲットしていきました。そのせいか、今はガラガラです。何組かの選手がそれを見越して先に入っていきました。」
公園内からの中継は熱気を帯びている。
「こちらも、子供たちには大人気。プーチンと○○半島。ロシアのラスプーチンに扮して、周辺諸国の港を手に入れていく仮想侵略戦争ゲーム。こちらは歴史と地理の勉強になるとPTA一押しとなっています。」
1時間、2時間。どんどん時間は過ぎるが一向に会場から出てくる選手がいない。みな、童心に返って我を忘れて遊び続けていたのだ。このままでは遊び疲れて誰一人ゴールするものがいなくなってします。
「キリンの能力にちがいない。」
最後の五倫獣、キリン。それは時空を自在に操る能力を持っていた。とりつかれると時間を忘れその場から出られなくなる。
いつまでもゴールできないマラソン。体が勝手に遊び、死ぬまでやめることもできない。しかもやつは神出鬼没。どのキャラに化けているか解らない。
「ここのメインキャラは何だ。」
正義が尋ねる。
「そは、美月と申すものなり。」
袴をはいたキャストの一人が答えた。
「美月の弱点はわかっているわ。」
セイリンが赤い水玉のミニスカートをはいて、彼に近づく。
「あはっ、遊べ遊べ。途中でやめたら仲間はずれにされちゃうよ。みんないつまでも、この夢と阿呆の国で子供のまま、楽しく過ごすんだ。」
美月は選手たちに叫んでいた。
「美月!」
振り向いた美月。
「ニュウジョウケン。」
あわただしく手を振りまくっていた美月の動きが止まった。
「やあ、そのスカート短すぎないかい。パンツが見えまーす。胸も出しすぎでぇしぃ。」
思わず目を覆う美月。
「ホウエイケン。」
黒い影が美月を包む。
「何も見えないよ。夢が消えちゃう。助けて、トランプ。」
金色の髪をなびかせて、次々とやってくるトランプの兵隊たちに、ニチリンの猪炸拳が炸裂する。
「五倫の書、第五章。拒否する勇気を持て。」
夢を失ないぐったりする美月から離れたキリンはコクリンの開剣で正気になった。
選手たちは会場を出るとメインスタジアムの競技場へと走った。勝者が気捲の使い手『オウリン』となった。
「今回は、こどもたちの声援が多いですね。」
解説者が中継ドローンから話す。
「今、私たちは選手団の上空にいます。新々国立競技場を後にして、現在は先頭集団は葛西臨海公園を超え、まもなく東京ヒゼニーランドに到達します。ここでは指定されたアトラクションで男女ペアで遊ばなくてはなりません。」
アナウンサーが畳み掛けるように実況する。
「人気アトラクションはタイム加点が付きますが、どれも長蛇の列。あっと、ここでパパとママ別れて走り始めました。ママさんたちはアトラクションに一目散ですね。パパさんはいったいどこへ向かおうというのか。」
「これはパパさん得意のファストパス・ダッシュですね。指定時間帯優先券を取って、後の展開を有利にしようという作戦ですね。」
解説者は冷静だ。
「今回はスマートフォンなどの電子機器は使えませんからね。各選手どうやって情報を得るのかも見ものです。」
「あーと。はやくもママさんのキャスト攻撃が炸裂しております。ペアが揃わないと並ぶことができません。あっと、偽装ペアが発覚して失格した選手が出たもようです。年の差ベアはチェックに手間取ってます。ファストパスをゲットしたパパとここで合流。」
「人気アトラクション、びっくりサンタ・待つんねんから中継です。」
「サンタからのびっくりプレゼントがもらえるとあって、普段は子供たちで大人気ですがとにかく待ち時間が長いこのアトラクション。選手たちの多くがファストパスをゲットしていきました。そのせいか、今はガラガラです。何組かの選手がそれを見越して先に入っていきました。」
公園内からの中継は熱気を帯びている。
「こちらも、子供たちには大人気。プーチンと○○半島。ロシアのラスプーチンに扮して、周辺諸国の港を手に入れていく仮想侵略戦争ゲーム。こちらは歴史と地理の勉強になるとPTA一押しとなっています。」
1時間、2時間。どんどん時間は過ぎるが一向に会場から出てくる選手がいない。みな、童心に返って我を忘れて遊び続けていたのだ。このままでは遊び疲れて誰一人ゴールするものがいなくなってします。
「キリンの能力にちがいない。」
最後の五倫獣、キリン。それは時空を自在に操る能力を持っていた。とりつかれると時間を忘れその場から出られなくなる。
いつまでもゴールできないマラソン。体が勝手に遊び、死ぬまでやめることもできない。しかもやつは神出鬼没。どのキャラに化けているか解らない。
「ここのメインキャラは何だ。」
正義が尋ねる。
「そは、美月と申すものなり。」
袴をはいたキャストの一人が答えた。
「美月の弱点はわかっているわ。」
セイリンが赤い水玉のミニスカートをはいて、彼に近づく。
「あはっ、遊べ遊べ。途中でやめたら仲間はずれにされちゃうよ。みんないつまでも、この夢と阿呆の国で子供のまま、楽しく過ごすんだ。」
美月は選手たちに叫んでいた。
「美月!」
振り向いた美月。
「ニュウジョウケン。」
あわただしく手を振りまくっていた美月の動きが止まった。
「やあ、そのスカート短すぎないかい。パンツが見えまーす。胸も出しすぎでぇしぃ。」
思わず目を覆う美月。
「ホウエイケン。」
黒い影が美月を包む。
「何も見えないよ。夢が消えちゃう。助けて、トランプ。」
金色の髪をなびかせて、次々とやってくるトランプの兵隊たちに、ニチリンの猪炸拳が炸裂する。
「五倫の書、第五章。拒否する勇気を持て。」
夢を失ないぐったりする美月から離れたキリンはコクリンの開剣で正気になった。
選手たちは会場を出るとメインスタジアムの競技場へと走った。勝者が気捲の使い手『オウリン』となった。