2 空色の髪の子
文字数 1,123文字
「トラベラー?」
彼女の発した聞き覚えのない言葉に、僕は怪訝そうに答えた。
「あ、……突然ごめんなさい」
女の子は顔を赤くしながら、僕から手を放した。
「いえ……」
と一言言ったあとに、すぐに我に返った。
「僕がわかるの?!」
僕は文字通り狼狽えていた。
だってここで誰かに話しかけられたのは初めてだし、しかもこんな可愛い女の子に!
「あれ……これ夢の中だよな」
僕は段々混乱してきた。
少し頭を冷やした方がいいかもしれない。
目の前の噴水に頭を突っ込もうとした時、女の子に止められた。
「待って!何するの?!落ち着いて!!」
*
「自己紹介をしていなかったわね、ごめんなさい。私はベルナデット」
噴水に飛び込むのを止められた後、僕と彼女は噴水の縁に腰掛けていた。
ベルナデットと名乗ったその子は、僕に右手を差し出してきた。
「あ……、どうも……、上村恵斗(うえむらけいと)です」
僕も名乗り、ベルナデットさんの手を握り返してぺこりとお辞儀をした。
「あの、ベルナデットさん……ここは一体……」
僕はベルナデットさんに質問をした。
僕はこの場所がどこの街か、どこの国かもまだ分からない。
ここはどこなんだ?
ただの夢のはずなのに、気になって仕方がなかった。
「そうね……まずはここの話からしないとね」
ベルナデットさんは僕の方に身体を向けた。
「まずここは、恵斗のいる世界とは別の次元に存在する世界なの」
「……異世界って事?」
「そう言う事」
僕の質問に、ベルナデットさんは嬉しそうに頷いた。
そうか……異世界か。
僕はいつからかそうだったら良いと思っていた、と言うか、そんな気がしていた。
「ただの夢じゃないんですね」
「ええ。……って、信じるの?!」
ベルナデットさんは驚きの声を上げた。
「はい……信じます。と言うか」
僕は頷いて続けた。
「僕、多分ここの事を知ってます」
一度も来た事がないこの国、この場所を。
僕は知っている。
けど、どうしてだろう?
「恵斗」
ベルナデットさんが僕を呼んだ。
「……はい」
ベルナデットさんはまた僕の手を両手で握った。
顔が熱い。
僕の心臓がどくどく言っている。
「今はまだ夢だけど、いつか本当にこっちの世界に来る日が来る。あなたが全てを思い出したら」
*
僕は普通の中学2年生だ。
この14年間、日本で暮らしてきた。
はずだ。
なぜ「はずだ。」なのかと言うと。
14年間ずっと日本にいたと、心から確信を持って言う事が出来ないからだ。
つまり言うと、覚えていない。
僕には、4歳より前の記憶が一切ないのだ。
『あなたが全てを思い出したら』
ベルナデットさんはそう言っていた。
ベルナデットさんは僕に小さい頃の記憶がない事を知っているのか?
何で……
ベルナデットさんに何かを話しかける前に、僕の視界はまた暗くなっていった。
彼女の発した聞き覚えのない言葉に、僕は怪訝そうに答えた。
「あ、……突然ごめんなさい」
女の子は顔を赤くしながら、僕から手を放した。
「いえ……」
と一言言ったあとに、すぐに我に返った。
「僕がわかるの?!」
僕は文字通り狼狽えていた。
だってここで誰かに話しかけられたのは初めてだし、しかもこんな可愛い女の子に!
「あれ……これ夢の中だよな」
僕は段々混乱してきた。
少し頭を冷やした方がいいかもしれない。
目の前の噴水に頭を突っ込もうとした時、女の子に止められた。
「待って!何するの?!落ち着いて!!」
*
「自己紹介をしていなかったわね、ごめんなさい。私はベルナデット」
噴水に飛び込むのを止められた後、僕と彼女は噴水の縁に腰掛けていた。
ベルナデットと名乗ったその子は、僕に右手を差し出してきた。
「あ……、どうも……、上村恵斗(うえむらけいと)です」
僕も名乗り、ベルナデットさんの手を握り返してぺこりとお辞儀をした。
「あの、ベルナデットさん……ここは一体……」
僕はベルナデットさんに質問をした。
僕はこの場所がどこの街か、どこの国かもまだ分からない。
ここはどこなんだ?
ただの夢のはずなのに、気になって仕方がなかった。
「そうね……まずはここの話からしないとね」
ベルナデットさんは僕の方に身体を向けた。
「まずここは、恵斗のいる世界とは別の次元に存在する世界なの」
「……異世界って事?」
「そう言う事」
僕の質問に、ベルナデットさんは嬉しそうに頷いた。
そうか……異世界か。
僕はいつからかそうだったら良いと思っていた、と言うか、そんな気がしていた。
「ただの夢じゃないんですね」
「ええ。……って、信じるの?!」
ベルナデットさんは驚きの声を上げた。
「はい……信じます。と言うか」
僕は頷いて続けた。
「僕、多分ここの事を知ってます」
一度も来た事がないこの国、この場所を。
僕は知っている。
けど、どうしてだろう?
「恵斗」
ベルナデットさんが僕を呼んだ。
「……はい」
ベルナデットさんはまた僕の手を両手で握った。
顔が熱い。
僕の心臓がどくどく言っている。
「今はまだ夢だけど、いつか本当にこっちの世界に来る日が来る。あなたが全てを思い出したら」
*
僕は普通の中学2年生だ。
この14年間、日本で暮らしてきた。
はずだ。
なぜ「はずだ。」なのかと言うと。
14年間ずっと日本にいたと、心から確信を持って言う事が出来ないからだ。
つまり言うと、覚えていない。
僕には、4歳より前の記憶が一切ないのだ。
『あなたが全てを思い出したら』
ベルナデットさんはそう言っていた。
ベルナデットさんは僕に小さい頃の記憶がない事を知っているのか?
何で……
ベルナデットさんに何かを話しかける前に、僕の視界はまた暗くなっていった。