第八章 『絵の中のクオリア』

文字数 7,755文字



「五月姉さん! 良かった無事で!」
 『ドア』から帰ってくると、蘭は五月へ抱きついた。
「蘭! 無事でよかった!」
 二人は熱い抱擁を重ねる。 メガネは五月へ若干のジェラシーを感じる。
「会えて良かったね」
 しかし口には出さずに二人の再会を祝福した。

「ありがとうございます! メガネさん! ライカさん!」
 蘭は二人に礼を言った。
 メガネは部屋の中を見渡す。 CATが居なかった。
「キャット、どこ?」
「今みんなの夕食を作ってます。 三人ともお腹空いてますよね? ご馳走しますよ!」
「マジでぇ!? そういえば緊張の連続でお腹空いてたの気づかなかったぁ!」
 ライカの腹の虫が鳴る。 メガネも急に空腹を感じる。

 四人は一旦『ドア』のある実験室を出て屋敷の中に戻る。
 蘭は実験室へと続く隠し通路への扉を閉めてロックした。

 昼間に訪れた食堂の扉を入ると、テーブルの上には豪華な料理が並べられていた。

「料理できてるぞ!」
 CATがエプロン姿で四人を迎え入れた。 その容姿は相変わらず可愛らしい。

{忘れてたけどこいつ二次キャラなんだよな} {ここでご飯} {なに作ったの?}

 テーブルは、オイルパスタをメインとしてフライドチキンやサラダ、コーンスープ等洋食で彩られていた。
 四人は席につくと、さっそく食事を始める。

「アンドロイドにこんなご馳走を作ってもらえるなんてね」
 メガネはその絶品の味に舌鼓を打ちながら言う。
「CATは万能アンドロイドだからね。 もっと世界に普及すれば料理人もいらなくなりますよ」
 蘭がパスタをフォークでくるくる回しながら言う。
 窓から見える景色は赤く染まり、今の時間が夕方である事を教えてくれている……。

「でも、斎藤さんの世界も五月さんの世界も、本当個性的だったね。 私はもう行きたくないけどー」
 ライカがスープを飲みながら言う。
 それは、現実から逃れたいと思う蘭や五月の願望を『ドア』が察知して引き寄せた世界。
メガネはそんな事を考えていると、ふといつの日か夢見ていた妄想を思い出す。

 ここではない、どこか遠くの知らない世界に行きたい。 誰も自分を知らず、自分も誰も知らない世界へ。
 まだ見ぬ冒険、出来事、事件、悲劇、喜劇、怒り、恐怖、スリルある世界。 この退屈な世界からサヨナラして、常に何かワクワクするような世界に行きたい。
 メガネが高校時代に吹奏楽部を退部して雑誌部に入ったのも、退屈な日常からの逃避が理由でもあった。
 彼女は常にスリルを求めている。 何も起きない現実と、ただ決められた楽譜通りに楽器を演奏する部活は、彼女にとっては退屈すぎたのだ。

「いつからだろうな……私がメガマジって呼ばれるようになったの」
 食事中、メガネは食べる手を止めて呟く。 その呟きに談笑中の皆は気づいていない。

 雑誌部で得た経験はメガネにとっては貴重で自分の財産だと思っている。 しかし同時に、世界はこんなにもつまらないものなのかと認識もさせられた。
 記事にする時の取材は楽しかったが、別に大した出来事を記事にすることはない。
ボランティア募集、勉強会の案内、学校行事、地域情報など、一学生が頑張って掲載できる記事などたかが知れている。
漫画や映画のように、殺人事件が起こったり政府の陰謀に巻き込まれたり、神々の怒りに触れて天変地異が起こる事もない。
 常識的に考えればそれは当たり前だ。
 世界は広い。 自分の居るこの狭い世界にそう頻繁に面白い事が起こるのは確率的にまずあり得ない。
 そんな事を自覚し始めてから、雑誌部に入部してもなおメガネはその現実に失望した。 そして、同時に世界をもっと面白いものに変えたいと願うようになった。
 
――それはとても些細な出来事がきっかけだった。

その日はとある猫の捜索記事の取材をしている時だった。 
同じ高校の生徒からの情報提供で、飼っていた猫が家に戻らないので写真付きで雑誌に載せて情報提供を呼び掛ける内容を記事にしてほしいというものだった。

記事を掲載したあと、猫は無事に保護されて飼い主の生徒の家へと戻った。
しかし、メガネはその記事の見出しにある文言を忍ばせた。

『猫、誘拐? 家出? 謎の失踪から無事保護される!?』

 雑誌の見出しにそう記述したのだ。 
もちろん誘拐の可能性なんか無かったしそれを示唆する内容は記事の中にも含まない。 記事はあくまで家出猫がただ家に帰ってきた事だけを綴る内容だった。
 しかし、見出しの内容を変える事によってその情報の印象ががらりと変わる。
ただ猫が帰ってくる内容よりも、読む前の人々の情報への好奇心が高まる。 その号の雑誌は多くの人が見てくれた。

 みんなスリルを求めているんだ。

 メガネはそこに可能性を見出した。 どんな平凡な記事でも、伝え方次第でその情報は面白くもなりつまらなくもなる。
陸上部の練習風景を伝える記事には『陸上部、驚愕の練習内容!?』。
花火大会の様子を伝える記事には『花火大会、その裏側ではある思惑が動いていた!』。
文化祭で却下された案を伝える記事には『(狂気!)文化祭で却下された出し物』。

このように、なんでもないような日常の記事の見出しを脚色していき、そしてそれは徐々に記事の内容にも反映させていった。
陳腐な日常、小難しい話題、それらを人々が関心を寄せやすい見出しにすることによって興味を持たせ、記事を読ませた。
真実であり、ヤラセではないギリギリのラインを攻めまくった。
そしていつの頃からか、雑誌部の部員からその記事の事をメガネマジックと呼ばれるようになる。
 出版社に就職してからも、メガネはその才能を遺憾なく発揮していった。
 着眼点、記事の書き方、プロモーション、あらゆる方法で彼女は読者を獲得していったのだ。
 そして現在ではどんどん下火になりつつある紙媒体を復活させていくパイオニアとして彼女の名は知られるようになっていった。

「一つ聞きたいんだが」
 CATが食事中にメガネに質問してきた。 思い出に耽っていたメガネは顔を上げる。
気付くと、全員がメガネの顔を凝視している事に気付く。
 メガネは一瞬戸惑うが、すぐに気を取り直してCATの次の言葉を待つ。

「君は何が面白くてこんな世界に居るんだ?」
 どういう意味だろう。 突然のCATの質問に、メガネは上手く返答できない。

「我々の研究によると、我々が体験しているこの世界はデジタルによって作られた紛い物の世界に過ぎない。 この世界で感じることができる五感、感情、印象、それらすべてはその人の中の独立した感覚ではなく、元々何か大きな意識の集合体があり、それらが枝分かれしていき『感覚』という名の何かを感じているように見せているだけだ。 もちろんその大本の『意識』もデジタル上に存在する紛い物にすぎない」
「あの……何が言いたいの?」
 世界仮想現実説を信じるつもりは今のところないが、CATのそれは断定した言い方だった。
「例えばさアイちゃん?」
 何故かライカが話し出す。
「幽霊っているじゃない? アレ、信じない人たちからすればただの思い込みだったり、脳の疾患だったり、集団催眠だったり、あくまで現代科学に当てはめて解明しようとするよね? でも世界にはまだ科学では解明できていない現象があるのに、どうしてそれは無いと言えるの? おかしいよね?」
「メガネさん」
 今度は蘭が話し出す。
「この世界がデジタルによるシミュレーション世界だと仮定すればその説明はほぼ解明できますよ。 幽霊の存在はデジタル特有のバグです。 論理プログラムの矛盾が生んだ事象なんですよ。 だから異世界なんてものが存在できる。 いや、ひょっとしたら『仕様』の可能性もありますけどね?」
「メガネさん」
 蘭の隣に座る五月が今度は続ける。
「現にあなたは今回の出来事に違和感を覚えないかな? ただの山奥に謎の屋敷、そこでは異世界へと繋がる『ドア』の実験をしていて、実際にあなたは二回もこの世界ではない『異世界』を見てきた。 あなたが知ってる世界って、こんなにも魅力的な事が起こる世界だった?」
「メガネ、お前内心この事態を楽しんでいたりはしないか?」
 CATの言葉に、メガネの心臓はぎゅうっと押しつぶされそうな感覚を受ける。

「今全世界にライブ配信をしているが、観ている視聴者は誰もこの現実を信じていないぞ。 お前は体験しているかもしれないが、視聴者はこれはバーチャルや合成によって作られた世界だと思っているだろう。 私のこの姿も、映像越しにそう見えるだけで、紛い物かもしれない。 紙面上ならなおさらだ」
「ちょっと待ってみんな……いきなり何を言ってるの?」
「あれ? アイちゃん」
 ライカが嬉しそうに言う。
「自分はこれが真実だと思っていても、みんなにおかしいと言われたらその真実は簡単に覆されるの? そんなに簡単に無くなってしまう真実なら、アイちゃん自身の存在も本当かどうか疑わしくなっちゃうんじゃないの? そう、さっきのCATが言ったように、この世界を構築する大きな意識の集合体の一つにあなたという幻想が――」
「何を言っているか分からないけど、私は存在してる! ライカさんだっているじゃない!? そうだよねみんな!?」
 メガネはドローンに向かって叫ぶ。 ライカの言葉をそれ以上聞きたくなかった。
 しかしライカは続ける。
「ライカって人はあなたの中に居るのかもしれないけど、それは私が確実に存在している証明にはならない。 あなたしか証明できない。 ネットの向こうのみんながそれを証明する手段はない、それに――」
 ライカはそこで一呼吸置くと、続けて言う。
「あなた自身も存在している証明はできない。 例え自分自身ですら、それは証明できない」

 そして……食卓からメガネ以外の全員がまるで最初からそこに居なかったかのようにその場から消えていた。

「え……え……? 待って待って……ナニコレ」
 訳がわからない。 一体何が起きているのだ?
 まるで最初から自分一人しか居なかったかのように、その空間から彼らの姿はおろか、気配すらも消えていた。
 先ほどまでの豪華な料理もテーブルから消えている。
 幻……そうひとことで片づけられるならどんなに良いだろうか。 しかしメガネの頭の中は警報の祭囃子が鳴り響く。
 普通ではない。 普通ではない事が起こっている。

「森田くん!」
 メガネはたまらず森田の名を呼ぶ。
≪はいメガネさん。 どうしました?≫
 森田の呑気な声が聞こえた。
「どうしました? じゃないよ! どうなってるのコレ!?」
≪みんな……消えちゃいましたね……≫
 そんなのは見れば分かる。 森田の言葉はメガネの不安を消してはくれなかった。

「森田くん! アンタねえ……! これヤラセだと思ってるだろうけどガチだよガチ! 言っても信じないだろうけどッ!」
 逆ギレ気味に叫びながら、メガネは食堂からホールへと戻る扉を開いた。
「――!?」

息を吞む。
 ホール内はさっきまでと雰囲気がまるで違った。
 まず異様なのはホールの色調だった。 まるで現実感がなく、セピア色の写真のように目に飛び込んでくる部屋のすべてが焦げたような色合いをしていた。
 そして窓から差し込む光は夕陽の色なんてものじゃない。
真っ赤だ。 まるで――。

{異世界?} {メガネ!} {アイちゃん!} {なんかヤバそう} {ライライは?}

「ヤバいヤバいなにこの雰囲気……」
≪メガネさん! とりあえず落ち着いてください!≫
「落ち着くったって……どうすりゃいいのよコレ!? 何が起きてるの!?」
≪正直僕もさっきまで半信半疑でした。 それは認めます。 でもメガネさん、このなんかヤバい感じのって、マジで起きてるんすよね?≫
「さっきからそう言ってるでしょ! これから信じなさいよ! これマジ! マジだから!」
≪ぶっちゃけどうしても判断材料が足りません。 でも、僕は少なくとも信じます。 これでメガネさんが消息不明なんてことになったら笑えないですからね≫
「笑えない、本当に笑えないわソレ」
≪とりあえず、ホールの扉を開けられますか?≫
「だからぁ! 出口には全部鍵が掛かって――」
 言いながらメガネは試しに最初に自分たちが屋敷に入ってきた玄関の扉を開けようとした。
 すると不思議な事に、すーっと扉は開いた。
「……開いたんだけど」
≪え!?≫
 メガネは扉を開けて外を見る。
 夕陽にしては赤すぎる光で一面照らされていた。

「どうなってんの……?」
 メガネは恐る恐る外へと足を踏み出した。
 強めの風の音と、草木が乱暴にこすれる音が辺りを包む。
 屋敷の横には昼間見た時と同じ湖が広がっていたが、赤い光に照らされた湖は真っ赤な色をしていた。

{めっちゃ赤い} {怖いんだけど} {わたしライカだよ! 外に出ちゃダメ!}

≪メガネさん! コメント! コメント見てください!≫
 森田の叫びに、メガネはコメントを見る。
するとコメントの中に、転生来花の公式アカウントからのコメントがあった。

≪このアカウント名、ライカさんじゃないですか?≫
「ラ、ライカさん!?」
 公式コメントはアカウントを持つ本人にしかできない。 そのコメントは紛れもなく転生来花のアカウントからのコメントだった。
「ライカさん! 今どこに居るんです!? ここどこですか!?」
 メガネは必死にコメント欄へ助けを求める。 しばらく待ってから、ライカのコメントが表示された。
{CATだ。 ライカがアカウントを教えてくれてこちらのPCで入力している。}
{よく聞けメガネ。 お前は今異世界に居る}
{前の異世界から帰ってきた時、五月とライカだけが帰ってきてお前の姿は無かった}
{恐らくお前は異世界への願望が強くて帰ってくる途中に別の異世界に引き寄せられてしまったんだ}
「そんな……!」
{だがお前が帰りたいと思うなら、帰る手段はある!}
「どうすれば!?」
 メガネが次のコメントを待っていると、屋敷の横にある湖から誰かが泳いで岸に上がってきた。 メガネはその人影を茫然と見つめている。

 それは……メガネ自身だった……。
「わ……私?」
 その姿は自分と全く同じ顔、姿をしていた。 裸だった。
 本来であればカメラを映すなと騒ぎ立てる所だったが、その異様な状況にメガネは思考を停止してしまっていた。

「わぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

目の前のメガネそっくりの姿のソレは、急に人の声とも動物の声ともつかない奇怪な爆音を口から発する。
 とにかく不快で鼓膜が破れそうなその音に、メガネは思わず耳を塞ぐ。

{もう一度実験室からドアへ入れ! そして元居た世界へ帰ることを心から望め!}

 森の方からざわざわと草木がなぎ倒される音が徐々に、こちらの方へ近づいてきた。
 まるでメガネそっくりのソレが呼んだかのように、ソレ等恐らく無数の者たちはこの屋敷へ向かって迫っている。
≪メガネさんとにかく中に入って! 鍵を掛けてください!≫
 茫然としていたメガネはようやく我に返り、急いで後ろを向いて屋敷の中に入ると、開けたばかりの扉を固く閉じて鍵を掛けた。
 その途端、この世のものではない何人もの気配が扉の向こう側に密集し、扉を勢いよく叩き出し始めた!
「ヤバいヤバいヤバい!」
 メガネは「ヤバい」を連呼しながら、実験室へと入るパーティールームへと駆け込む。
「ちょっと待って……入り口が無くなってる!?」
 見ると、実験室へと続く通路はプロジェクタが掛かっている壁で塞がれていた。
 試しに壁を叩いたり押してみるが、どうにも壁が動く気配が無かった。

{ピアノだ! ピアノであの曲を弾くんだ!}
{楽譜はピアノの横にある! 特定の楽譜を弾けば扉がまた開く!}

「ピアノ……そのが特定の楽譜って何!?」

{曲のタイトルは}

 そのコメントを最後に、転生来花のアカウントのコメントは一切来なくなった。 それだけじゃない。 今まで大量に流れた他のアカウントのコメントもピタッと止まった。
「ちょっ! なんの楽譜が正解なの!?」
 こうしている間にも、外から聞こえる扉を叩く音は次第に大きくなり、その反響音は屋敷全体を覆っていった。
「どういうことコレ……森田くん!?」
 助けを求めるように森田を呼ぶが、こちらもコメントと同じく何も応答が無かった。
 屋敷の至る所からミシッミシッという不安な音が鳴り響く。
「くそ!」
メガネは絶望に駆られながらも、ひとまずピアノの横にある楽譜が並べられている棚の前へと行く。
ズラッと並んでいる楽譜のタイトルは――。
『Auld Lang Syne』 『L'amour est bleu』 『El Bimbo』 『Dies irae』 
『Romeo and Juliet』 『Mondscheinsonate』 『Irrésistiblement』
『Stand by Me』 『The Great Escape March』 『Arie auf G』
『Jupiter, the Bringer of Jollity』
と、計十一冊の楽譜が並べられていた。

「このどれか一つをピアノで弾くとこの壁が開く仕掛けになっているのか……」
屋敷全体から振動が伝わる。 ホールの扉も含め、もう長くは持ちそうにない。 全ての楽譜を総当たりで弾いている時間はないだろう。
メガネは考えた。 何かヒントはないか?
 焦る気持ちの中、思考を巡らせた。
 そして、とあるヒントを思い出した。
「そうだ……」
 メガネは背負っていたリュックからある物を取り出し、それを後ろへ向かってペラペラとめくる。
「最初の方だから、たぶんこの辺のはず……!」
 お目当てのもの見つけ、メガネの瞳に希望が宿る。
「あった……この楽譜だ!」

 メガネは正解と思われる『楽譜』を棚から取り出してピアノの譜面台に固定すると、すぐに演奏を開始する。
 よくテレビなどで耳にする曲だ。 これ、こんなタイトルだったのか。 しかしピアノが弾けてよかった。 楽譜すら読めなければ完全に詰んでいたな。 メガネはそんな事を考えながら弾き続ける。 間違えないように、なるべく冷静に、慎重に。

特に間違えずに弾くことができた。
するとプロジェクタが掛かっている壁が横にスライドしていき、研究所の奥へと続く道が現れる。
ちょうどホールの方から何かが破裂する音が聞こえた。 得体の知れない怪物たちがここまで来るのも時間の問題だろう。
メガネはすぐに椅子から立ち上がると、開いた道へ駆け出す。

しばらく進み、例の研究施設に戻ってくることが出来た。 そしてあの大きな『ドア』も健在だ。
 メガネは『ドア』の前で念じる。
 元の世界に戻れますように……。 メガネは特にライカの顔を思い出す。
 さっきまで一緒に居た、本物のライカに会えますようにと。

 意を決して、メガネは『ドア』を開けて中へと踏み込んだ。



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