第3話
文字数 420文字
莉奈の仕事はチラシ作成だ。
LDが莉奈の作成したチラシを謙司に振り、チェックをさせる。反対に謙司が作成したチラシをLDが莉奈に振り、チェックをさせる。そうやってお互いのミスを潰しあい、ミス集計表に入力させないようにする工作を、莉奈は仲の良い今村敬子LDに頼んでいたのである。
LDは今村敬子以外にも複数いるので、全案件を莉奈の思い通りに動かすわけにはいかないが、周りにバレない頻度で行うことで、ふたりのズルは上の目を通り抜けてきたのであった。
謙司の作ったチラシをこれまでと同じ頻度で振ってくることを考えると、今村敬子は、ふたりが別れたことを知らないのだろう。
謙司の作ったチラシ。懐かしい謙司の指。あの長くて節の太い人差し指がマウスを動かして、和牛の上ロース画像をお肉特売の枠内に嵌め込んだのだ。莉奈はチェックをしながら、毎回涙が溢れ出た。
あの指はもう、私のものでは無いのだ。今頃、他の女の唇をなぞっているのかもしれない。……
LDが莉奈の作成したチラシを謙司に振り、チェックをさせる。反対に謙司が作成したチラシをLDが莉奈に振り、チェックをさせる。そうやってお互いのミスを潰しあい、ミス集計表に入力させないようにする工作を、莉奈は仲の良い今村敬子LDに頼んでいたのである。
LDは今村敬子以外にも複数いるので、全案件を莉奈の思い通りに動かすわけにはいかないが、周りにバレない頻度で行うことで、ふたりのズルは上の目を通り抜けてきたのであった。
謙司の作ったチラシをこれまでと同じ頻度で振ってくることを考えると、今村敬子は、ふたりが別れたことを知らないのだろう。
謙司の作ったチラシ。懐かしい謙司の指。あの長くて節の太い人差し指がマウスを動かして、和牛の上ロース画像をお肉特売の枠内に嵌め込んだのだ。莉奈はチェックをしながら、毎回涙が溢れ出た。
あの指はもう、私のものでは無いのだ。今頃、他の女の唇をなぞっているのかもしれない。……
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