第3話 まるでわたしの背後の何かを見ているみたい。

文字数 326文字

「わたしの家ね、レストランやってるんだけど、雨の日に限ってやってくる客がいるのね。わたしたちは勝手に雨女さまって読んでるんだけど、なんで雨の日にだけやってくると思う?」

わたしの話に、那実人くんはチラッと横目でわたしの瞳を見つめた。
この距離で見つめられるとは思わなかったので、ドキッとした。

ん?違う、視線が合ってない。
まるでわたしの背後の何かを見ているみたい。

鋭く心に突き刺さる視線だ。
痛みこそはないが、まるで銛で突き刺され絶命した気分だ。

那実人くんは空にあるネジを回すように、親指と人差し指を回し、

「違うよ、その人は雨女さまじゃない」
「ん?」
「問題はもっと大きい」
「えっ?」

わたしはちょっと軽い話題作りの話を、しようとしただけなの。

なんか・・・


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登場人物紹介

かすみ。中学生。祖父母のレストランを手伝っている。

那実人(なみと)。離島からの転校生。まだ街に慣れてない。

無理に都会的な服を着ている。

ひより。レストランでバイトする女子高生。かすみのお姉さんの様な感じ。

雨女さま。雨の日にだけレストランに来る。愛車はラパン。

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