第2話 初めての循環バス。
文字数 551文字
那実人くんは、離島の中学校が廃校になってしまって、街の中学校に転校して来た可愛い系で自称が『吾輩』の変わった少年だ。
その那実人くんが、挙動不審状態で路線バスに乗ってきた。
私服の那実人(なみと)くんを、見るのは初めてだ。
なんだろう?
なんか服が、めっちゃ余所行き感いっぱいのなんだけど。
彼にとっての都会のイメージなのだろう。
その彼にとって初めての循環バスなのだろう。
こっちにも伝わるくらい、どっきどきの表情をしていた。
海の香りがしそうなちょっと日焼けした那実人くんは、バスの運転手と何か話した後、わたしの存在に気付いた。
バスは良い感じに混んでいて、ちょうどわたしの隣の席が空いていた。
同じクラスの女子であるわたしの隣に座らないと、気まずいくらいの混み具合だ。
『吾輩は、赤の他人の女子なら、気にしないけど、同じクラスの女子なら、何かを会話しないと気まずいと思った』
って表情の憂鬱な那実人くんだが、この混み具合&雰囲気。
わたしの隣に座らないと不味いんじゃないの?
少年は伏目がちに軽く会釈すると、わたしの隣に座った。でも、
「・・・」
「・・・」
明らかに焦る無口な那実人くん。
はぁ~、女子の方から話しかけるのもと思ったが、わたしは仕方なく、話を振った。
『雨の日にだけ、うちのレストランに来る雨女さま』の話を。
つづき
その那実人くんが、挙動不審状態で路線バスに乗ってきた。
私服の那実人(なみと)くんを、見るのは初めてだ。
なんだろう?
なんか服が、めっちゃ余所行き感いっぱいのなんだけど。
彼にとっての都会のイメージなのだろう。
その彼にとって初めての循環バスなのだろう。
こっちにも伝わるくらい、どっきどきの表情をしていた。
海の香りがしそうなちょっと日焼けした那実人くんは、バスの運転手と何か話した後、わたしの存在に気付いた。
バスは良い感じに混んでいて、ちょうどわたしの隣の席が空いていた。
同じクラスの女子であるわたしの隣に座らないと、気まずいくらいの混み具合だ。
『吾輩は、赤の他人の女子なら、気にしないけど、同じクラスの女子なら、何かを会話しないと気まずいと思った』
って表情の憂鬱な那実人くんだが、この混み具合&雰囲気。
わたしの隣に座らないと不味いんじゃないの?
少年は伏目がちに軽く会釈すると、わたしの隣に座った。でも、
「・・・」
「・・・」
明らかに焦る無口な那実人くん。
はぁ~、女子の方から話しかけるのもと思ったが、わたしは仕方なく、話を振った。
『雨の日にだけ、うちのレストランに来る雨女さま』の話を。
つづき