第2話
文字数 472文字
今日も来た。
行きつけの寂れた喫茶店でひとり読書を楽しむのが、まるで嵐の中で戦うような日々の中の唯一の癒しだった。
そこに、土足で無遠慮に踏み込んできたのが、同じ部署の後輩だった。
いや、実際は声をかけてくるでもなく、ただカウンターの一番離れた席に座り、じっと……いや一応バレないようにこっそりこちらの様子をうかがうだけ。
声でもかけてくるのなら、「邪魔するな」と文句のひとつも言えるのだが、ただ黙ってそこに座って昼食を取るだけ。余計に厄介だ。
今日も、いつもと同じようにこちらの様子をチラチラ見ては、スマホをいじる。
そういうときは、おそらく本のタイトルで検索をかけているのではないかと思っている。
そのまま熱心に画面に見入るときと、退屈そうにスマホを伏せるとき。
そんな反応を密かに楽しむため、最近では雑食を装って様々なジャンルのものを読むようになった。
そして、しばらくリサーチした結果、意外と歴史小説が好きなのではないかと推測。
――意外と趣味が合うのかもしれない。
そんなことを考えていたら、思わず口元がほころび、慌てて引き結んだ。
行きつけの寂れた喫茶店でひとり読書を楽しむのが、まるで嵐の中で戦うような日々の中の唯一の癒しだった。
そこに、土足で無遠慮に踏み込んできたのが、同じ部署の後輩だった。
いや、実際は声をかけてくるでもなく、ただカウンターの一番離れた席に座り、じっと……いや一応バレないようにこっそりこちらの様子をうかがうだけ。
声でもかけてくるのなら、「邪魔するな」と文句のひとつも言えるのだが、ただ黙ってそこに座って昼食を取るだけ。余計に厄介だ。
今日も、いつもと同じようにこちらの様子をチラチラ見ては、スマホをいじる。
そういうときは、おそらく本のタイトルで検索をかけているのではないかと思っている。
そのまま熱心に画面に見入るときと、退屈そうにスマホを伏せるとき。
そんな反応を密かに楽しむため、最近では雑食を装って様々なジャンルのものを読むようになった。
そして、しばらくリサーチした結果、意外と歴史小説が好きなのではないかと推測。
――意外と趣味が合うのかもしれない。
そんなことを考えていたら、思わず口元がほころび、慌てて引き結んだ。