第3話

文字数 322文字

 今日は、某アーティストのエッセイ本を、食後のコーヒーのお供に開く。
 声の響きと前向きな歌詞に惹かれ、家でもよく聴いている。
「芹沢先輩。ひょっとして、そのバンド、好きなんですか?」
 本から視線を上げると、いつもカウンターの端からわたしのことを覗き見ていた後輩の芝山君が目の前にいた。
「ええ、そうね。よく聴いてるわ」
「僕も好きなんですよ。あの……今度よかったら、一緒にコンサート行きませんか?」
 真剣な表情の芝山君に、思わず「いいわよ」と返事をする。
「そうだ。この前吉村幸三の歴史小説の新刊が出たんだけど、芝山君、もう読んだ?」
「え、マジですか? まだ読んでません。吉村幸三、いいですよねー……って、なんで先輩知ってるんですか? 僕の好きな作家」
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