「韻を踏むのに特別な訓練は必要ありません」
文字数 2,140文字
さて、どうやったら韻を踏めるようになるのか。というのはラッパー志望の初心者がいかにも考えていそうなことです。「創作に韻を役立てる」というテーマ上、読者のあなた方が韻を踏めないことにはお話になりませんので、そのために必要と思われる方法を伝授しておきましょう。今回は前回説明した韻の踏み方をおさらいし、そこからより実践的な内容に入ります。あと今回はガッツリ真面目にやるので、いちいち文章中で韻を踏みません。目に優しいですね。
韻を踏むのに特別な訓練は必要ありません。「ルールさえ理解すれば今すぐにでも踏める」ようになります。しかし皆さんは初心者ですから、理屈では分かっていても「韻を踏め」と言われたところですぐには韻を踏めないことと考えられます。つまり、とにかくルールを完全に把握するところから始めましょう。それさえ理解すれば韻は踏めるのですから。
ルールは若干語弊があるかもしれませんがざっくり言うと「2つの言葉の母音を同じ位置で合わせる」ことです。例えば「ブドウ,歩道」は踏めています。なぜならブドウの母音は「budou」で、歩道の母音は「hodou」、「オウ(ou)」という母音で一致しているからです。韻は2文字以上合っていれば概ね韻として文句がありませんので、たった2文字合わせるだけとなればそう難しいことでもありません。「ブドウ」の全ての母音を踏みたければ「不動,駆動,苦労」などは全ての母音が「uou」なので正解になります。
以下に韻の例をいくつかまとめます。「こういう感じなんだな」という参考にしてください。
例題1.「ラーメン」
韻→ソーメン、イケメン、ツタンカーメン、アーメン、当面、完全、突然、商店
例題2.「マンガ」
韻→版画、短歌、散々、簡単、レンガ、演歌、限界、満足、万人、番長、パンダ
例題3.「創作に役立つ」
韻→盗作に殺伐、蒼白に白髪、張作霖爆殺(事件)、広角に爆発、本閣議休まず
いかがでしょうか。韻を踏むというのはこんな感じなのか、という感覚だけでも掴んでいただければ幸いです。
さて韻を踏むという行為を身につけるための練習法なのですが、以下のいずれかを実行するとよいかもしれません。
練習法1.「目に入ったもので手当たり次第に韻を踏む」
テレビ、パソコン、新聞、机、紙、目に入ったものでとにかく韻を踏めばいずれ慣れます。慣れてきたら比較的文字数の多い韻にも挑戦してみては。
友達とお互いどれだけ韻を踏めるか勝負するのも面白いと思います。作者もこれを元にしたゲームを考えており、小説の題材にできそうなくらいです。でも友達がいません。
練習法2.「韻を踏んだ曲を聞いてみる」
HIPHOPの曲は韻を踏んだものばかりです。韻を踏んだ曲ばかり聞いているといずれ耳が慣れ、韻の踏み方をいつの間にか理解します。作者もこの例です。
システムがちょっと違うのでアメリカの曲はこの場合おすすめできません。日本語のラップ曲を聞きましょう。プロの韻は参考になります。
他にも練習法はありますが、教えるのが面倒なのでご自分でどうぞ。また、前回の話に掲載した参考URLのサイトに役立つ情報が多く載っているはずです。
最後に韻を踏むための練習問題を用意しました。ぜひ取り組んでみてください。
例題1.「この作品は」
例題2.「面白い」
例題3.「なので私は」
例題4.「作品を」
例題5.「お気に入り」
例題6.「しました」
おまけ みんなで遊ぼう!「韻踏みゲーム」
1.壮絶な死闘の末、先攻と後攻に分かれます。
2.お題となる単語を先攻が決め、その単語で韻を踏みます。
3.後攻も韻を踏みます。その際、既に踏まれた韻を使ってはいけません。
4.また先攻が韻を踏みます。これを3ターン繰り返した後、後攻がお題を変更するか否か決めます。
変更しない→手番が先攻に戻り、また3ターン繰り返します。
変更する→後攻だった者がお題を決め、先攻になって韻を踏みます。3に戻ります。
5.お題の単語で韻を踏めなくなった者が敗北し、最後まで踏めていたもう片方の勝利です。
具体的な流れ
お題α(先攻のAが決定)→A→B→A→B→A→B(変更権)
変更する >お題β(変更権を持つBが決定)→B→A→B……
変更しない>お題αのまま A→B→A……
攻略法
・先攻の場合
短い韻をお題にする→お互いに踏みまくれるので、体力勝負になる。ただし「そろそろ踏めなくなる」と相手が感じてもお題変更まで耐えられたら無意味になる上、お題変更権がないので自分が体力切れすると確実に負ける。
長い韻をお題にする→7文字以上の長い韻をお題にし、先攻であることを活かしてあらかじめ考えていた韻(ストック)で踏む。相手が踏めなければ即座に勝利できるが、相手が踏み変えしてきた場合窮地に陥る可能性が高い。
・後攻の場合
お題を先攻に決められてしまうのでストックで攻められる可能性があるものの、お題変更権があるので長期戦になれば勝率は高い。後攻の利を活かして戦おう。