「ゴリ押しをご了承ください」

文字数 3,809文字

 韻の話をします。
 え、なんですか? 「登場人物紹介に出ていたかわいい子はどこに行った」? ああ……面倒くさいんで作者が直接という形をとってお話しますよ。ええ。物語にするのって思いのほか難関で簡単じゃないんですよ。散々ですよ。淡々と出来るもんじゃないんですよ。なので、もう全てを諦めて作者がベラベラベラ~っと語るのが正しい判断だと思いました。ゴリ押しをご了承ください。

 ここから下を読む前に警告させていただきますよ。

 ココまでを読んでお分かりになる通り、文章を書くのがうわぁ。あはぁ。と思った作者が、文章中に韻を落とすことが腐るほどあります。このお話はこのスタンスです。この口を塞ぐことは出来ませんので、「親父ギャグなんぞ聞きとうない」という方は、読んでて意思後退する前にここらでブラウザの画面をグッとバックしていただくのがよろしいでしょう。「いや俺はお前の痛い、いたい、いたーい文章を読んで自分よりも下がいることに安心するよ」という作者と気の合いそうな方は、グッドラック。



 芯の話をします。韻というのは起源をさかのぼると、古代中国に使われていた詩の技法みたいなのらしいです。らしいですって何だよって、作者がその時代を生きてたわけじゃございませんからね。確実な情報を提示しろって、そんな事言い出したらこのお話は早々に停止しますよ。「しょうがねぇな1個1個訂正してやるよ」という読者さんはもうちょっと引っ込んでてください。黙って。後で語って。

 まあその後時代は次第に流れまして、韻を踏むと音が綺麗に聞こえるらしい、ということで韻は歌唱法の1つとなりました。HIPHOP(ラップ)ではしきりにこの韻が使われ、韻をふんだんに入れた歌詞が歌われました。HIPHOPはアメリカの文化で……。

 もう、どうでもいいって顔してるので、歴史の授業はこの辺でお開きに。



 音の話をします。で、日本に韻という概念が入ってきた訳ですが。日本では親父ギャグという概念が広く普及しておりまして、親父ギャグはダサいという固定観念がありました。韻は親父ギャグと共通点が多いですから、韻は親父ギャグと一緒でダサいものだというおぼろげな考えが日本人の頭に定着……はしてないですね。そもそも、親父ギャグと韻の違いすら分からないでしょう。あなた方。なので、韻=親父ギャグ=ダサいとして通ってしまっている訳ですね。韻のカッコよさなんぞ親父ギャグの寒さで凍っています。

 ですが先ほども説明した通り、韻は歌唱法です。親父ギャグは単なるギャグです。そう言い切るとまた別なところから異論が飛んできそうですが、素人も玄人も話が終わるまで黙っててください。下がっててください。

 違いを説明しましょう。親父ギャグは「単語の母音も子音も全て合わせる」、韻は「母音のみ合わせる」。これが両者の違いです。

 例に出すと、「アルミ缶の上にあるみかん」は親父ギャグですね。ローマ字に解体しますと「arumikanの上にarumikan」で、両方とも全て一致しています。これが母音も子音も全て合わせるということです。

 もう一つの例。「アルミ缶の上に立つチカン」は韻です。お目にかかりたくもない最悪の状況ですが、ローマ字に解体しますと「arumikanの上にtatsutikan」で、全ては一致していません。ですが母音「a i u e o」だけを抜き取ると「a u i anの上に a u i an」ですね。この母音とnの「auian」が一致しているので、「母音が合っている」。これを韻と言います。お分かりですかね。分からなくてもいいですよ。韻を踏めた所でどうせ履歴書には書けませんから。悲劇でしょう。



 戻りまして、韻の話をします。要するに、親父ギャグと韻はちょっと違いますよと分かって頂ければいいんです。それで韻は歌唱法の1つとして認められていますが、これは「同じ音が続くと心地よく聞こえるから」という理由だそうです。このテクニックはラップの曲だけでなく、有名な曲の歌詞などにも使われています。現代人だけでなく、あのシェイクスピアも詩の中に韻を取り入れています。「ラップとかダジャレでしょ?」と言ってた方は、そのダジャレと言った韻の起源が中国の詩で~とか、シェイクスピアの名前が出てきたりと、「ワァ、なんだか話が大きくなってきたぞ」と感じておられることでしょうか。詳しくは参考URLに載っているので調べてください。そこで私が思ったのですが、この韻って文章でも同様に使えるんじゃないかなあ、と想像したわけです。これって先人はおらず、先陣を切れるんじゃないかと気分が高揚しましたよ。

 色々考えてみた結果、腐るほど先人はおりました。この韻は「言葉遊び」という形で言葉遊び大好きな文豪たちに使われております。名前がひっくり返しても同じなあの人とか。なんで、作者の考えたことは大したことじゃございませんでした。お粗末さまです。このザマです。さすがは偉大な文豪の皆様方、殿様です。

 なんて泣き言を説こうとしているわけではありません。逆に考えれば、韻は言葉遊びという形で小説というジャンルの中でも成り立っているわけです。親父ギャグみたいでダサいとされる韻が可になっているわけです。つまり皆さん、小説のテクニックの1つとして「韻という言葉遊び」を調べてみることは、創作がお得意な皆さんにとってプラスになるのではないか。と思うわけです。音の流れを良くする韻を小説の中で効果的に織り交ぜれば、読みにくかった文章があれよあれよと読みやすく、なんてことがあり得るわけです。ありがたい話ですね。ちなみに本当に音の流れが良くなるのかとお疑いかもしれませんが、「コカ・コーラ」ってアレ「oa・o-a」でわざと韻を踏んでるんですよ。だから音の流れが良く耳に残り、大衆への普及に一役買ったのではないかと、参考URLのお方が主張しておりますのでぜひご覧あれ。とにかく、韻の効果は折り紙つき。ぜひ手に取りたい武器ではありませんか。


 ちなみに私がさっきから懲りないぐらい韻を踏んでいるのは、「文章の流れに悩んでも、韻を絡めようとしたら次の言葉が出てくる」からです。さっきから恐ろしいくらい効果を体感しています。そして韻を踏もうとするので、「独特な言い回しになる」ことがあります。文章上で独特な言い回しが出来るのって、小説だと有利だと思うんですが、無理がありますかね。僕は使い方次第ではプラスだと思いますがね。ラップの歌詞って韻を踏む分、独特な歌詞になることが多いので、小説でも同じことが出来るのではないかと思います。

 そういうわけで作者の認識に相違がなければ、ここまで真摯にご覧頂いた読者様方には、韻について考える利点がお分かり頂けたと合点しております。単なる親父ギャグじゃないかと言う考えはひとまず置いて頂き、弛まず韻に対する理解を深め、よければ実践していただければ幸いです。ラッパーもまた言葉のプロですから、学ぶことはあると思っています。一流ラッパーの語彙力は異常です。辞書とか読み込んでるらしいです。

 以下、参考URLです。「よし韻についてちょいと調べてやろう」というお方は、おしなべて一言添えておきますのでお役立てください。これにて私はお役御免。

本文からの参考URL

「韻と親父ギャグの違い」出典↓

http://www.fumu.in/entry/2016/01/24/「韻問題」そして韻とダジャレの違い


「韻はHIPHOPジャンルに当たらない曲の歌詞などにも使われている」出典↓

http://www.fumu.in/entry/2016/02/23/ミスチルが踏む韻の進化

http://id.fnshr.info/2016/02/22/orange/


「コカ・コーラは韻を踏んでいる」出典↓

https://www.strategicprofits.jp/blog/archives/3676

その他参考URL

・HIPHOPとは音楽でなく文化のことです。その歴史について詳しく知りたい方はこちらなどいかがでしょう。

http://www.gagle.jp


・いま巷ではラップで即興バトルをする、MCバトルというものが流行っています。興味がある方はこちら。

https://ja.wikipedia.org/wiki/MCバトル


・そのMCバトルの動画。

第9回高校生RAP選手権 決勝バトル 裂固 vs Lick-G

https://www.youtube.com/watch?v=zaiMdwN1E9E

UMB 2014 FINAL DVD Trailer

https://www.youtube.com/watch?v=rOU2ywfLTBU


・HIPHOPの曲は色々ありすぎて選曲に困るのですが、↑のバトル動画にも使われた「一網打尽」のみを。

曲に混ぜる上で韻がどう機能しているかを考えながら見ると面白いかもしれません。

https://www.youtube.com/watch?v=9hJLzzmbQAY


・そのMCバトルに関して、韻にも関係した解説をしている記事です。

http://www.fumu.in/entry/2016/02/07/フリースタイルダンジョンの韻を解説する(初心者

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登場人物紹介

印野 踏子(いんの ふみこ)

HIPHOPが好きな女子高生。

最近OZRO SAURUS(オジロザウルス)を聞いてドハマりし、

ファッションもラッパーっぽくしているが、普通に校則違反。

門司 書子(もじ かきこ)

小説家志望の女子高生。

最近スランプになり、解消のため常にノートを持ち歩くことにしたが、

そのノートはただのお絵かき帳へと様変わりする悪循環。

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