第4話 福音
文字数 395文字
そして運命の時がやってきた。
その夜、たまたま男は早く帰宅して、車中ではなく静かな自宅から国際電話を受けた。
移動中の車と違い、雑音も少なく、音もぶつ切りにならずよく聞こえる。男は弁護士のアフリカ訛りの強い英語を聞き取るために、注意深く耳をすませた。
すると、電話口から
「コケコッコーーーーーーーー!!!」
それはそれは力強い、高らかな雄鶏の雄叫びだった。その音を聞いた途端に、男の目前にザッとアフリカの風景が開けた。
今まで電話していたのは、灰色のオフィス用品で固めたクリーンな弁護士事務所なんかじゃない。鶏や家畜の行き交う赤茶色の砂埃の立つ街中、往来の人々のざわめき。国際電話に繋ぐための、通りに面した小屋のような店構えの、簡素な間仕切りのインターネットカフェ……そういった景色がまるでフラッシュバックかのように男の眼前に現れた。
これは国際詐欺だ。男はようやくそのことに気がついた。
その夜、たまたま男は早く帰宅して、車中ではなく静かな自宅から国際電話を受けた。
移動中の車と違い、雑音も少なく、音もぶつ切りにならずよく聞こえる。男は弁護士のアフリカ訛りの強い英語を聞き取るために、注意深く耳をすませた。
すると、電話口から
「コケコッコーーーーーーーー!!!」
それはそれは力強い、高らかな雄鶏の雄叫びだった。その音を聞いた途端に、男の目前にザッとアフリカの風景が開けた。
今まで電話していたのは、灰色のオフィス用品で固めたクリーンな弁護士事務所なんかじゃない。鶏や家畜の行き交う赤茶色の砂埃の立つ街中、往来の人々のざわめき。国際電話に繋ぐための、通りに面した小屋のような店構えの、簡素な間仕切りのインターネットカフェ……そういった景色がまるでフラッシュバックかのように男の眼前に現れた。
これは国際詐欺だ。男はようやくそのことに気がついた。