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文字数 930文字

 暫く寝ると、小便がしたくなって目が覚めた。本当は、日のあるうちに家の中を確かめたかったのだが。懐中電灯を持ってきていなかったので、諦めたのだ。
だから当然、事故物件のトイレも使えない。
 真っ暗だから・・・流石に怖い。
私は、

「ああ、ションベン」

と春先とはいえ、山の中。
 夜になれば冷え込む、暖房もエンジンさえ、つけてない車内で言うと。

「急いでな」

と言われた。ドアを開けようとしたら。

「いた!」

と前のジャンパーのカメラマンが言った。
 そして、ディレクターが双眼鏡で覗くと。

「やはり、ここだったか」

と言った。私も暗い闇夜に目をこらすと。
 確かに、事故物件に出入りする二人の人影が見えた。何!不良学生の溜まり場にでも、
なっているのか?と焦ると。
 ディレクターは無線を取り出して。

「発見した、アジトに間違いない、突入!」

と言った。
 はぁ〜?と思っていると。
ヘリコプターが飛んてきて、人がロープを使って降りてきた。しかも沢山!えっ!えっ!
もう撮影始まってるの、何の撮影?!刑事物?
と思って啞然としていると。
 前の二人共、車を降りて手に拳銃を持っていた。すると、何処にいたのか道路から車が3台やってきて、家を取り囲んだ。
ヘリコプターがライトで家を照らして、ホバリングしていた。

 えっ!えっ!と思っていると。
バリバリバリバリ!と機関銃の音と、
ドカン!と言う爆発音。
事故物件の窓ガラスが割れた。
何してんのー!勝手に壊すな。
事故物件好きの社長が・・・買い叩くぞ!
と焦っていると。

 来るわ、来るわ!あっという間に、10台以上の警察車両に、辺りはライトで照らされて。
事故物件に向って人が雪崩込んで行った。
何が何だか分からず、唖然としていると。
出てくる、出てくる!まるでドラマの犯人の様な人達が、手錠をはめられ連れ出されて。
真っ黒な護送車の様な車に乗せられていた。
 すると、ディレクターとカメラマンがやって来て。

「ありがとう。テロリストのアジトを発見、
検挙出来た。君の協力に感謝する」

と握手をされた。

「えっ?!テロリスト!」

 そう言う事故物件だったのか!
と俺はようやく事の次第が飲み込めた。
そして成る程、事故物件が欲しいのは、
あの社長だけじゃ、なかったんだな・・・
と納得した。

 終わり。
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