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文字数 791文字

 本当、あの社長以外、買わないなと、思ってしまった。さてと、外へ出ようとしたら、二人は駄目だと言った。
そして、用意してきてあったのだろう。双眼鏡と望遠レンズの付いたカメラで見ていた。
何なんだか・・・。
建物は見るからに事故物件、廃屋感があった。
人が住まないと家はこうなるものだ。
だから、如何にも住みたくなるように整備管理するのも、我々の仕事なのだ。
 30分1時間と、そこで見ていた。

 私は夕暮れになった山で。このまま、この人達は幽霊が出るのを待つつもりなのでは、と思って焦ってしまった。
何だかんだ言っても、お客なのだから付き合うしかない。
しまった、こんな事なら2台の車で来るんだったと、

「すみません、もうすぐ定時なんで。一応会社に電話しても良いですか?内覧(外覧?)してると言いたいので」

と言うと。

「どうぞ」

と言った。
 私はさてと、と携帯を取り出して驚いた。
圏外だったのだ。

「あはは、圏外だ。まったく今時、参ったな」

と言うと。二人はニヤリと笑った。
 こいつら、いつまでいる気なのだろう?
私は、

「こんなんなら、缶コーヒーでも買ってくるんだったな」

と言えば。ガサガサと、運転席と助手席の間にあったレジ袋から、後部座席の私に向って。
ブラックの缶コーヒーを差し出した。
そして良かったらと菓子パンもくれた。
 コーヒーはブラック派じゃないんだが。
この際言ってはいられない。
 私はこいつら、端なっからここで待つ気だったな、と溜め息が出た。
下手すりゃ何も出なかったら、謝礼も無しだなとパンを食いながら。

「あのぅ、残業になるんだけど。会社に繋がらないから。手当付かないと思うんだよね。最初からここで待つ気だったなら、そう言ってほしかったな」

と言うと。

「すまない。残業代はこちらで払うから、付き合ってくれ」

と言われた。まったくテレビ局は、と私は少し寝て良いですか?と後部座席で、狭かったが
居眠りを始めた。
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