9.グノーシス ~ 転生法 まで

文字数 9,889文字

閲覧ありがとうございます。
こちらは過去作【星屑のメロウ】の改正版です。
過去作をベースに新たに書き直したモノなので、
過去作とは設定や展開が異なります。
また、過去作は小説に限りなく近く書き上げていますが、
改正版のこちらは『脚本』の状態です。
重大なネタバレを含みます。
予告なく書き換える可能性があります。

よろしくお願いします。





休憩を済ませ、
マダム・スカルウムに話しかけて長話を聞く。


スカルウム「この世界に生きる者達は、
      死ぬと元素に還元されます。
      それは天族も冥族も
      例外ではありません。
      死ぬと肉体は元素に。
      そして魂は・・・。
      魂は、『グノーシス』に
      吸収されるのです。
      グノーシスは『知識の保管庫』。
      最初に不老不死を発見した
      天族と冥族、『いにしえの者達』に
      造られた存在なのです。
      最初の不老不死。
      それは『概念化』というものです。
      天族と冥族は、概念化、つまり、
      竜、妖精、人間、魔獣の四種族に
      信仰、或いは畏怖されると力が漲り、
      逆に忘れ去られると力を失います。
      そうして死を迎えると、
      肉体は光、闇の元素に還り、
      魂はグノーシスに吸収される。
      これは四種族も同じです。
      グノーシスは本来は知識の保管庫。
      しかし、魂が保有していた記憶も
      取り込むように造られていたためか、
      グノーシスに自我が芽生えたのです。
      四種族が文明を発展させ、個体数が、
      魂の数が増えると、グノーシスは
      爆発的に魂を吸収することになり、
      自我はより強固に育っていきました。 
      そして時が経ち、グノーシスは
      いにしえの者達にすら
      手が付けられない存在に
      なってしまった。
      グノーシスは知識の保管庫ではなく、
      世界の管理者になろうとしました。
      天族、神や天使、冥族、魔王や悪魔をも
      超える存在になろうとしたのです。
      いにしえの者達は本当の不老不死を求め、
      知識を、魂をひと固まりにして、
      そこから手掛かりを得ようとしましたが、
      それが裏目に出てしまったのです。
      いにしえの者達はグノーシスの暴走を
      防ぐため、破壊することを決めました。
      しかし、破壊は失敗に終わりました。
      グノーシスはいつ覚めるかわからない
      永い眠りに就きましたが、
      魂を吸収することは
      止められなかったのです。
      いにしえの者達は、今度はグノーシスを
      完全に破壊する方法を探すため、
      四大陸と四種族の文明の発展を促しました。
      当時はそれしか方法がなかったのです。
      しかし、四種族の文明が発展するにつれ、
      文明がいにしえの者達の神秘性を
      侵し始めることに気付いたのです。
      概念化の最大の欠点です。
      いにしえの者達は文明を破壊し、
      自らの力を誇示し、
      信仰と畏怖を取り戻すため、
      ファースト・ハルマゲドンを起こしました。
      その結果、グノーシスに膨大な魂が
      吸収されることになりますが、
      破壊と殺戮に晒された魂を吸収することで
      弱体化するだろうと考えたのです。
      作戦は成功。グノーシスは弱体化し、
      更に深い眠りに就きますが、
      それでも手に負えない存在には
      かわりありませんでした。
      いにしえの者達は四大陸の中央に
      塔を作り、上に天界、下に冥界を作り、
      そこに移り住むことで四種族との
      直接的な関係を断ちます。
      そして、四種族の概念化である
      二人の王と二人の女王を通じて
      間接的に四種族に干渉して、
      想像力を掻き立たせ、
      いにしえの者達である神や魔王は
      崇高ながらも身近な存在ではないと
      四種族に思い込ませることで、
      神秘性を維持させることに成功しました。
      ファースト・ハルマゲドンも、
      『文明の破壊と力の誇示』ではなく、
      『光と闇の最終戦争』と
      伝えるように指示します。
      そうすることで、神や魔王に対する
      反発心を少しでも四種族から
      取り除こうと試み、これも成功しました。
      グノーシスを破壊する方法を
      模索しながら、ハルマゲドンを
      繰り返すことで自らの命を
      永らえさせる仕組み・・・。
      いにしえの者達に都合の良いように
      造られた世界。彼ら彼女らが
      命を永らえさせるためだけに
      造られた世界。これが今の世界です。
      何度も同じことを繰り返す馬鹿共。
      それが、神や天使、魔王や悪魔。
      仮に、ハルマゲドンを推進する者達を
      殺して元素に還しても、
      グノーシスを潰さない限りは、
      いつかまた、同じことが起きます。
      ハルマゲドン推進派筆頭である
      神王とシュタインベルト家を潰すのは
      『時間稼ぎ』に過ぎないのです。
      天族と冥族の神秘性は文明が発展すれば
      自然と消えゆくのですから、
      一番深い根を、グノーシスを
      完全に消滅させなければいけません。
      貴方達の敵はハルマゲドンでも、
      神王でもシュタインベルト家でもない。
      知識の保管庫、グノーシスなのです」

マリー「わ、わか、わかった人いる?」

イリス「マリーにわかりやすいように説明すると、
    最終目標はグノーシスを潰すこと」

マリー「そう、なの? サララ、そうなの?」

サララ「そうよ。マリー、自信持って」

ペトロフ「僕達は、どうすればよいのですか?」

スカルウム「神王とシュタインベルト家を潰す。
      そしてグノーシスを潰す。
      前者については問題ありませんわ。
      ペトロフさんと
      春秋さんに流れる血が、
      高位の天族と冥族の
      命を絶つ術となるでしょう。
      概念化には二つ、欠点があるのです。
      一つは、神秘性を失うこと。
      もう一つは、同族同士、或いは自らを
      傷付けることができることです。
      天族も冥族も、結局は弱肉強食です。
      しかし下位の四種族に攻撃されても、
      痛みは感じても致命傷には至りません。
      無毒の蟻と有毒の竜程の差があるのです」

ペトロフ「グノーシスは、今どこに?」

スカルウム「いにしえの者達はグノーシスを
      六花島に安置し、封印し、
      封印を解く鍵を四つに分け、
      ある存在に守らせています」

ミハエル「待ちな」

スカルウム「なんでしょう?」

ミハエル「あんたの情報源はどこだよ」

スカルウム「いにしえの者達の一人であり、
      知識の神である、ステラ様です」

ノウ「嘘は言ってないと思うよ」

春秋「ミハエルさん、私もそう思います。
   それに、私の身になにかあれば
   母様、あ、いえ、菖蒲が黙っていません。
   貴方程の魔術師なら、
   菖蒲とスカルウムさんの力量の差は
   わかるでしょう。小細工を弄しても
   無駄なことも、です」

ミハエル「・・・で、封印を解く鍵は?」

スカルウム「四大陸の王達が守っています」

ペトロフ「えっ・・・」

スカルウム「今から残酷なことを言います。
      神王は病に臥せったことになっていますが、
      実際は菖蒲さんが毒を盛って
      弱体化させている。
      まず、神王を殺すのです。
      その次に、シュタインベルト家。
      ローズはハルマゲドンを起こしたくない。
      マリアはハルマゲドンを起こしたい。
      この均衡を崩します。
      マリアを殺し、ローズも殺す。
      ハルマゲドンの時間稼ぎができます。
      グノーシスもハルマゲドンは望んでいない。
      破壊と殺戮に晒された魂を吸収すると
      弱体化するのですから当然です。
      ファースト・ハルマゲドンで
      グノーシスは弱体化している。
      そして、不安定な眠りについている。
      グノーシスの夢の中に入り込み、
      悪夢を見せて更に弱体化させれば、
      消滅させることが、できるかもしれません」

イリス「では、問題は四大陸の王達が持つ
    封印を解くための鍵と、
    グノーシスの夢の中に入る方法ですか?」

スカルウム「その通りです。夢の中に入る方法は
      目途がついております。
      わたくしを信じてください、
      と言うのは無理があるのは
      わかっています。
      ですから、わたくしではなく、
      ステラ様と菖蒲さんを信じてください」

春秋「わかりました」

マリー「ちょ、早いわね」

春秋「わたくしが母様を
   信じない理由がありませんからね」

ミハエル「あとは、実際に手を汚すペトロフ、
     お前の判断、だな」

ペトロフ「・・・一つだけ質問させてください」

スカルウム「なんでしょう」

ペトロフ「四大陸の王が持つ鍵とはなんですか」

スカルウム「それは、それぞれを象徴するものです。
      火の竜の牙、水の妖精の羽根、
      風の人間の心臓、土の魔獣の血液。
      それらが『核』となって四大陸の
      王と女王は概念化されています。
      殺して、奪い取りなさい」

サララ「なっ!?」

ペトロフ「サララ君、静かに」


ペトロフが溜息を吐く。


ペトロフ「マダム・スカルウム。
     僕もこの話、お受けします」

スカルウム「よろしいのですか?
      貴方は・・・」

ペトロフ「僕にも色々、ありますから」

スカルウム「そう、ですか・・・。
      では、一刻も早く、天界に向かいなさい。
      そして神王を殺すのです。
      ご武運をお祈りします」


天界に向かうと、天族が一人近付いてくる。


天族「お待ちしておりました。
   覚悟は、よろしいですか?」


『はい』を選ぶと神王と戦闘イベントへ。
『いいえ』を選ぶとそのまま。戦闘準備を整える。

『はい』を選ぶ。


神王「来たか・・・。
   ステラの手引きだな。
   問答は無用。弱っていようと私は神の王。
   お前達の首にステラと菖蒲の首も加えて
   私の神殿に並べてやろう!」


ボス『神王』。戦闘勝利後、イベント。


春秋「次はシュタインベルト家ですか」

サララ「春秋さん、貴方、慣れてるわね・・・」

春秋「私の過去が過去ですからね。
   さあ、冥界に戻りますよ」


冥界、マダム・スカルウムに会いにリリー村へ。


スカルウム「皆さん、お待ちしておりました。
      シュタインベルト家の内部は
      アリスさんが手引きしてくれます。
      さあ、お行きなさい」


シュタインベルト家へ。


アリス「来たね。さあ、中へ・・・」


モルグがマリアとエルザを連れて出てくる。


アリス「おや、姉上。お出掛けとは珍しい」

マリア「ええ、貴方を殺しに」

アリス「穏やかじゃないですね」

マリア「エルザで遊ぶのも飽きてきたの。
    改造し過ぎて傷だらけだし、
    なにをしても反応が鈍いし。
    ねえ、アリスさん。貴方が、
    いえ、お前がモルグに犯されるところを
    見てみたいわ。いいでしょう?」

アリス「おやまあ。この人数相手に正気ですか?」

マリア「お黙りッ!! 塵芥風情がッ!!
    お前らも殺してシュタインベルト家を
    私のものにしてみせるわッ!!」


ボス『マリア』『モルグ』戦。
戦闘勝利後、イベント。


アリス「頭でっかちの慎重派のマリアが
    何故こんな短絡的なことを・・・」

???「お、お待ちくださいっ!」


屋敷の中からダンテが出てくる。


ダンデ「アリスさん、僕が事情を説明します・・・」


回想が流れる。


ローズ「話とはなんだ、マリア」

マリア「兄上、アリスさんの
    縁談の話はどうなったのです?」

ローズ「アレが捕まらないのだから
    どう仕様もない」

マリア「・・・甘いですね、実の妹には」

ローズ「マリア?」

マリア「・・・わたくしの本当の気持ち、
    気付いていないのか、
    知らない振りをしているのでしょう?」

ローズ「なんのことだ」

マリア「愛しております、ローズ様。
    例え腹違いの兄妹でも・・・。
    なのに、可愛がるのは、
    家に居ない妹のことばかり・・・」

ローズ「悪いな、マリア。
    顔が好みじゃないんだ」

マリア「ッ!? ・・・顔、が?
    顔が、なんですって?」

ローズ「君は美しくないのだよ」

マリア「そんな、理由で・・・?
    フフ、アハハ!
    わたくしを愛さないのは、
    そんな理由ですの!?」

ローズ「そうだ」

マリア「・・・もう我慢できない。
    心が駄目なら、
    身体だけでも手に入れます」

ローズ「マリア、なにを・・・!?」



回想が終了。


ダンデ「姉上は、兄上を殺して、
    アリスさんに復讐を・・・」

アリス「それで錯乱していたのか・・・。
    ま、色々と手間が省けたな。
    ダンデ、家はお前が継ぎなさい」

ダンデ「なっ、なにを言っているのです!
    僕が当主だなんて誰も認めませんよ!
    シュタインベルト家の当主は、
    アリスさん、貴方です!」

アリス「では当主の命令だ。私の跡を継げ」

ダンデ「そ、そんな・・・」

アリス「弱肉強食の冥界で、ダンデ、
    お前は少々弱過ぎる。
    ポルティエ、支えてやってくれ」

ポルティエ「わかりました、お嬢様。
      たまーには帰ってきてくださいね」

アリス「お前が言うならそうしよう。
    さて・・・。
    貴方達の責任者って誰?」

マリー「責任者、っていうか、
    ギルドマスターは私だけど?」

アリス「私とエルザを旅の仲間に入れてくれない?」

マリー「えっ!?」

アリス「ああ、駄目もとで聞いてるから。
    エルザは元はただの人間なんだよ。
    それをマリアが『可愛いから』
    って理由で攫ってきた子なんだ。
    躾と称した洗脳と虐待の後遺症で
    言葉を話せないし、
    命令してもらわないと排泄もできない。
    私はこの子への罪滅ぼしの旅をする。
    年の近い子が居ればエルザも
    楽しいかなって。ま、私の勝手だね。
    駄目なら私のツレとまた旅をするよ。
    で、どうかな?」

マリー「・・・いいわよ」

イリス「言うと思った」

サララ「私も。皆、文句言わないわよね?
    ギルドマスターの判断なんだから」

アリス「・・・お、いいのかい?
    ありがとうね。
    エルザ、おいで」

マリー「・・・さて、次はグノーシスの
    夢の中に入る方法、ね」

イリス「マダム・スカルウムの
    ところに戻ろうか」

サララ「そうね」


アリス、エルザが仲間に加わる。
リリー村でマダム・スカルウムから話を聞く。


スカルウム「・・・そうですか。アリスさんの
      ご友人のエドワルドさんと
      ミヅキさんにはわたくしから
      伝えておきますわ」

アリス「ありがとう」

スカルウム「残るは封印の鍵と、
      グノーシスの夢に入る方法ですわね。
      夢に入る方法なんですけれど、
      まだ手間取っております。
      少しの間ですが、休息をとってください。
      わたくしの村でよければ歓迎しますわ」

スコルピオ「遠慮する」

マリー「えっ、なんでよ!」

スコルピオ「空気が不味いからだ。
      グルメパレスに戻るぞ」

マリー「師匠ぉー!」

ミハエル「グルメパレスでいいだろ」

マリー「駄目だこりゃ」

スカルウム「ウフフ、よいのですよ。
      では、その時になれば使者を
      グルメパレスに向かわせます。
      また会いましょう」

三人娘『ありがとうございました!』


グルメパレスに戻り、シルバーに報告。


シルバー「へー、そんなことがあったのかあ・・・。
     ふうん、いいなあ、面白そうだなあ」

ミハエル「うわ嫌な予感」

シルバー「俺も旅に連れてけ!」

ミハエル「言うと思った!
     お前ここの総支配人だろ!」

シルバー「売り飛ばしてでも着いて行く!」

ミハエル「駄目だこりゃ」


シルバーが仲間に加わる。


マリー「菖蒲さんのところにも
    報告に行った方がいいわよね?」

春秋「必要ありませんよ。
   優秀な『情報屋』が着いていますから」

お紺「フフ、恋人の鴉さんのことだよ」

マリー「あ、そ、そう・・・?」


ぶわ、と風が吹き込み、鴉が現れる。


お紺「ありゃ、噂をすればなんとやら」

鴉「ペトロフと春秋に、
  四大陸の王と女王から伝言だ」

ペトロフ「えっ・・・」

鴉「『いつでも殺しに来い』と」

ペトロフ「・・・そう、ですか」

マリー「ちょちょ、ちょっと待ってよ!
    『封印の鍵』が四大陸の王達の
    身体の中にあることはわかったけど、
    殺したりしたら、あたし達・・・」

イリス「指名手配されて
    あっという間に賞金首だろうね」

鴉「その心配は必要ない。
  菖蒲の話では『転生法』があるらしい」

イリス「転生法・・・?」

ミハエル「んだそりゃ。聞いたことねえぞ」

鴉「俺も初めて聞いた。
  四大陸の王と女王の力の源は、
  竜、妖精、人間、魔獣という概念。
  その概念がなくならない限りは存在し続ける。
  だから殺しても問題ない、と言っていた。
  殺せばわかる、ともな」

ペトロフ「平和に解決することは、
     できないんですね・・・」

鴉「そうだな・・・」

ペトロフ「皆、まず風の国に行こう」

サララ「ペトロフ!
    風の国の女王は貴方の・・・」

ペトロフ「いいんだ、サララ君。
     僕の決意を揺るがさないでほしい。
     だから、風の国に行くんだ。
     いいね? ギルドマスター」

マリー「ペトロフ・・・。
    わかったわ。風の国に向かいましょう」


風の国の暴風城に向かう。
謁見の間、王座に座っている暴風王に話しかけるとイベント。


暴風王「待っていましたよ」

ペトロフ「母上・・・」

暴風王「・・・どうしてかしら。
    貴方に嫌われる演技をしようと思ったのに、
    なんの言葉も出てこないわ」

ペトロフ「封印の鍵、頂戴します」

暴風王「ペトロフ、貴方を殺します。
    封印の鍵を手にするに相応しい者かどうか、
    その血潮で証明してみせなさいッ!」


ボス『暴風王』と戦闘。
戦闘勝利後、イベント。



???「おお、なんということだ。
    わらわが負けてしまうとは」

ペトロフ「えっ!? あ、貴方は一体・・・」

風鈴「我が名は『風鈴』ぢゃ。
   ペトロフ、知っているぢゃろう?
   わらわ達は『いにしえの者』に近い、
   『概念化』によって不老不死を得た存在。
   『人間』という概念が無くならぬ限り、
   四大陸の王達は新たな肉体と精神を経て、
   再び王として大陸に君臨するのぢゃ。
   しかしまあ、人間は変態ぢゃのう。
   わらわは人間達の理想の姿、
   そして理想の王でもあるのぢゃ。
   まさかこのような幼女に
   国を治めてほしいとは・・・」

イリス「こ、これが、転生法?」

風鈴「察しが良いな。そういうことぢゃ。
   四種族の信仰と畏怖が途切れぬよう、
   混乱が起こらぬように、
   現実が改竄されておるのぢゃよ。
   スミレという存在は、
   もう、誰も覚えておらぬのぢゃ。
   そして、誰も思い出せぬのぢゃ。
   最初から、無かったのぢゃ」

ペトロフ「では、僕は何故存在しているのですか?」

風鈴「良い質問ぢゃな。
   全てはいにしえの者達の仕業よ。
   ヤツらは創造主。
   混乱を招かぬよう、生き物の記憶を
   書き換えるなど造作もないこと。
   まあ、こころまでは操れぬがな」

サララ「ペトロフがこころで母親を
    覚えているから、
    いにしえの者達の力が
    通用しないということ?」

風鈴「そうぢゃ。ペトロフとこころで
   深く結びついているお前達も、
   いにしえの者達の力が及ばぬようぢゃな」

ペトロフ「こころ・・・」

風鈴「魂、とも呼べるな。さあ、封印の鍵を、
   スミレの心臓を渡そう。
   鍵を集め、グノーシスを滅ぼすのぢゃ」


『人間の心臓』を手に入れる。


風鈴「次は水の国に向かうがよい。流水王から、
   先代のディミディウムについての話を
   聞くのぢゃ。健闘を祈るぞ」

ペトロフ「・・・はい」

サララ「ペトロフ、顔が真っ青だわ。
    マリー、今夜は城下町で宿を取りましょう」

マリー「わかったわ」


夜になる。宿屋の外でサララとペトロフの会話。


サララ「ペトロフ・・・」

ペトロフ「やあ、サララ君・・・」

サララ「隣、いいかしら?」

ペトロフ「うん・・・」


サララがペトロフの隣に座る。


ペトロフ「なんだか、とんでもないことに
     なっちゃったね・・・」

サララ「ペトロフ・・・」

ペトロフ「なにも言わないで」


沈黙。


ペトロフ「・・・楽しく旅をするだけなんて、
     そんなこと、許されるはずないよね」

サララ「ねえ、ペトロフ。全てが終わったら、
    私と二人で旅をしましょう」

ペトロフ「えっ・・・?」

サララ「わかるの。長い付き合いだから。
    マリーとイリスが、
    私から離れていっちゃうこと。
    マリーはミハエルの弟子だもの。
    身体を治して魔術を極めるため、
    ミハエルと旅をするわ。
    イリスはね、不死者同盟の人とよく話してる。
    きっと不死者になりたいんだと思う。
    イリスなら、なれるでしょうね」

ペトロフ「サララ君・・・」

サララ「初めての冒険で、始まりの冒険で、
    世界を救うなんて考えてもみなかった。
    私は剣を振るうのが好きなだけ。
    マリーやイリスみたいに夢なんてないの。
    だから、ペトロフが私の夢になってよ。
    ペトロフの夢を叶えるのが、
    私の夢。・・・って、駄目、かしら?」

ペトロフ「・・・いい、の?
     僕、王子様じゃなくなっちゃったし、
     帰る場所も、もう無いし」

サララ「私が帰る場所になってあげる」

ペトロフ「・・・そんなこと言われたら、
     サララ君のこと好きになっちゃうよ」

サララ「それが狙い、だったりして・・・」

ペトロフ「ど、どうして僕なの?」

サララ「好きになるのに理由なんてないわ。
    嫌いには理由があるけれどね」

ペトロフ「サララ君・・・。
     ううん、サララ」

サララ「はい」

ペトロフ「この冒険が・・・。
     僕の始まりの冒険が終わったら、
     次の冒険は、一緒に居てください」

サララ「はい。どこまでも着いて行きます」

ペトロフ「・・・えへへ、ありがとう。
     元気が出たよ。凄くね」

サララ「さ、もう宿に戻って休みましょう」

ペトロフ「うん!」


宿に戻る。

翌朝。


マリー「よし! 水の国に出発よ!」





四大陸の王が終わったら、『六花島』へ。
そして冥界の三大勢力の一人、『ヨモツ』の話と、
〇〇〇の正体が明らかに・・・なる・・・かも・・・?

最終戦の前に〇を○○ことができます。
エンディングは1種類ですが、
物語が終わったあとにキャラがどうなったのか、
それを知るためのオマケ要素です。
〇〇しなくても影響はありません。

あとはメインに関わらないところで
喧嘩したりイチャイチャしたりさせたいな。
キャラの設定、もっともっと知ってほしい。

というわけで、まだまだ続くんぢゃ!
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