3.風の国から水の国へ ~ ヴァンパイア討伐 まで

文字数 11,116文字

閲覧ありがとうございます。
こちらは過去作【星屑のメロウ】の改正版です。
過去作をベースに新たに書き直したモノなので、
過去作とは設定や展開が異なります。
また、過去作は小説に限りなく近く書き上げていますが、
改正版のこちらは『脚本』の状態です。
重大なネタバレを含みます。
予告なく書き換える可能性があります。

よろしくお願いします。





港町に行くと、店員が近寄ってくる。


店員「おめでとうございまーす!!」

マリー「えっ? なになに?」

店員「宿屋『ほたて亭』が新装オープンしました!
   お客さん達、いーっぱい人が居ますね!
   是非、うちで一晩休んでいってください!
   そんでもってお友達や家族、仕事仲間や
   仇敵にまで宣伝してってくださーい!」

マリー「ええ? ・・・ま、いっか!」


その日の夜。ローディが宿から出る。
ノウが煙草を吸い、その横でステファンが星を見上げていた。


ノウ「やあ、君も眠れないのかい?」

ローディ「・・・ちょっとね」

ステファン「君に聞きたいことがあるんだけど、
      いいかな?」

ローディ「なんだい?」

ステファン「なんで人間のフリなんかしてるの?」

ローディ「なんのこと?」

ステファン「責めてるわけじゃないよ。
      僕には理解できないことだから
      興味を持っただけ」

ローディ「・・・そっちの彼に
     聞いた方が良いんじゃない?」

ノウ「おや、僕のこと
   人間じゃないってわかるんだ?」

ローディ「今、ここに人間は一人も居ないだろ」

ノウ「あはははは!
   僕は仕方なくやってるだけだよ。
   そういう君は?」

ローディ「実のところ、よくわからなくてね。
     ・・・見返りがないとわかってて
     親切にするなんてさ」

ノウ「ああ、うん。
   人間ってそういうところあるよね」

ローディ「・・・どうしてかな。
     傷は癒えたはずなのに、
     彼女を見ていると疼くんだ」

ステファン「疼きの理由を知りたいから、
      人間のフリをしているわけ?」

ローディ「うん。人間と人間の文化は面白いね。
     もういいかな? 僕は戻るよ」


ローディが宿に戻っていく。


ノウ「誰のことだろうね」

ステファン「いつも目で追ってるあの子じゃない?」

ノウ「竜族って意外に粘着質なんだなあ・・・」

ステファン「初めての感情に戸惑っているように見えるけど」

ノウ「お節介焼きたいなら好きにすれば?」

ステファン「嫌だよ面倒臭い。
      君と同じ空気を吸っていると
      気分が悪くなるから僕は戻るよ」

ノウ「じゃあ、僕はもう少しここに居るよ」


ステファンも宿に戻っていく。


ノウ「スターダスト、星の屑、か・・・。
   今はまだ未熟だけど、
   成長すれば、きっと上に・・・。
   いや、下にも行けるかもしれない。
   ・・・考え過ぎかな。
   今はミュコのことだけでいいや」


ノウも宿に戻っていった。

翌朝。

船着き場に行く。


イリス「あっ!」


イリスが突然、一人の男の前まで駆けていく。


イリス「あの・・・」


男はイリスを見るが、答えない。


お紺「ああっ! お前、『海雲』!」

マリー「海雲?」

お紺「賞金稼ぎで賞金首のクソ野郎さ」

海雲「よう」

お紺「こんなところでなにをしている?」

海雲「潮風が好きなんでな。
   じゃあな、お嬢ちゃん」

イリス「あっ・・・」


海雲は町の方へ行ってしまう。


お紺「イリスちゃん、知り合いなのかい?」

イリス「・・・いいえ。人違いでした」

お紺「・・・そう」


船に乗る。


ミュコ「ねえねえ、イリス」

イリス「なあに?」

ミュコ「みずのくにってなにがあるの?」

イリス「あれ、ミュコはどこから来たの?」

ミュコ「つちのくにだよ!」

イリス「そっか。えっとね、
    水の国は『流水王』と呼ばれる妖精が
    大陸を統治、ええと、女王様をしているよ。
    流水王は世界一美しい生きものって
    言われててね、名前はイリスっていうの」

ミュコ「イリス??」

イリス「そう。私と同じ。いや、私が同じだね。
    人間族や亜人は女の子が産まれると、
    流水王みたいに美しく育ちますようにって
    同じ名前、イリスって名前をつけるんだよ」

ミュコ「へえー!」

イリス「それから、水がとっても綺麗で、
    その辺の水溜まりの水を
    そのまま飲めてしまうくらいなんだ。
    あとは、『パールビーチ』っていう
    観光地があるよ。遊べる海岸。
    海の水を、なんとそのまま飲めちゃうの。
    わざわざ火の魔術師や魔女を雇って
    一年中遊べるように温かくしてるんだって」

ミュコ「おおー!」

イリス「食べものは、川や海で釣れる魚とか、
    貝とか、海老とかが新鮮で美味しいよ。
    水辺に棲んでる生きものだね。
    水の国についてはこんなところかな?」

ミュコ「ありがと!
    ねえねえ、亜人ってなに?」

イリス「人間族に近い見た目や、
    賢さを持っている生きもののことだよ」

ミュコ「んぅ? どういうこと?」

イリス「えーっと、亜人っていうのは・・・」


イリスが詳しく説明する。


イリス「・・・ということなの」

ミュコ「うん! わかんない!」

イリス「えっ」

ミュコ「おふねたんけんしてくる!
    ミミンちゃん、いこっ!」

ミミン「ミュー!」


ミュコとミミンが行ってしまう。


イリス「そ、そんな・・・。
    一生懸命説明したのに・・・!」

ペトロフ「そんなに落ち込まないで!
     とてもわかりやすかったよ」

お紺「あんた達、あの子に
   着いて行かなくていいのかい?」

ノウ「ああ見えて結構賢いから、
   危ないことはしないよ」

サララ「ねえ、ミュコって私達より年上よね?
    どうして子供みたいに振舞っているの?」

ノウ「さあ?」

ミハエル「・・・あれは『呪い』だな」

サララ「『呪い』? 穏やかじゃないわね」

マリー「師匠、どういうことですか?」

ミハエル「術者が誰かは知らねえが
     『呪い』を施されている。
     記憶の封印と、精神の成長を
     阻害する強烈な洗脳、だな」

ノウ「見ただけでそこまでわかるのかい?」

ミハエル「まあな。精神に干渉する魔法は
     扱いが難しいんだ。推定だが、
     ミュコの精神年齢は八歳程度。
     肉体年齢は二十四、五歳ってところだろう。
     現実との齟齬は必ずある。
     それをねじ伏せる程、
     強力な『呪い』を施されているわけだ。
     野放しにしていい代物ではないな」

マリー「代物って・・・。
    ミュコの呪いを解く方法はないんですか?」

ミハエル「詳しく診断しないことには
     なんとも言えねえな。
     まあ、一般的な『呪い』の対処法でいえば、
     術者自身に解呪させるのが手っ取り早い。
     その次は俺様みたいな魔術師が、
     一本一本、繊維を解くように呪いを解くかだ。
     あとは、本人の気合いで呪いを解くかだが・・・」

ステファン「・・・実は僕達、ミュコの呪いを
      解くために旅をしているんだ」

ノウ「僕は反対してるんだけどね」

マリー「ねえ、三人はどうやって知り合ったの?」

ステファン「あー・・・。それ、
      どうしても話さなきゃ駄目?」

マリー「できれば聞きたいけど、どうしてもじゃないわ。
    できれば聞きたいけどね。で、き、れ、ば!」

ステファン「あーっ、もう、わかったよ!
      僕は行き倒れているところを
      ミュコに助けてもらったんだよ。
      その時にはもう、ミュコはあんな感だったよ」

ノウ「閉鎖的な故郷が嫌で飛び出してきたのは
   いいけど、頼る宛てもなくて、
   ボロ雑巾みたいになって倒れていたんだよね」

ローディ「へえ、僕と一緒だね」

ステファン「ふうん、気が合うじゃん」

マリー「そういうノウは?」

ノウ「奴隷商人から買った」

三人娘「えっ!?」

ノウ「すっごく可愛いでしょ、ミュコ。
   だから土の国の『ドーパ市』で買ったのさ」

ステファン「僕とこいつが仲が悪い理由、わかったでしょ?」


沈黙が横たわる。


ミュコ「みんなー! みんなー!
    みずのくにがみえてきたよー!」


水の国の港町につく。


お紺「さて、情報とくれば酒場だね。
   お腹も空いてるし行ってみよう」


酒場に行く。


酒場の店主「いらっしゃい! っておいおい、
      ここは子供の来るところじゃあないぜ」

お紺「保護者付きだよん」

酒場の店主「おっと、お紺じゃねえか!
      子守りか? 似合わねえなあ」

お紺「この子達は立派な冒険者だよ。
   ほら、胸のバッジを見てごらん」

マリー「えっへん!」

酒場の店主「おっと、本当かあ?
      確かにギルドマスターのバッジだがよお」

お紺「この子の魔法であんたの残り少ない
   毛根を燃やしてもいいんだよ?」

酒場の店主「ハハッ! 悪い悪い!
      で、どんな仕事をお探しで?」

マリー「最近、水の国で魔獣族が
    激増しているという話を聞いて来たの!」

酒場の店主「成程。確かに最近、魔獣族が増えて、
      なんだか狂暴になってきているんだよ。
      その影響でパールビーチを一時的に
      閉鎖するって話まで出てきちまって、
      女王陛下もお困りのようだぜ」

サララ「なにか原因があるのでしょうか?」

酒場の店主「むかーしから大陸の北西に住んでる
      『ヴァンパイア』が原因じゃないかって噂だ」

イリス「ヴァンパイア!? 『冥族』の??」

ミュコ「イリス、ヴァンパイアってなに?」

イリス「他の種族の血を吸う冥族、
    二大元素の『闇』の一族のことだよ。
    血を媒体にその生物の記憶や特性や
    魔力を吸収したり、逆に傷口から
    病原菌や魔力を流し込んで魔獣化させて
    自分の眷属にしたりするんだ」

ミュコ「うーん・・・?」

サララ「どうしてそのヴァンパイアが
    原因だとわかったんですか?」

酒場の店主「噂じゃそのヴァンパイア、
      自分のことを『公爵』と名乗っていて、
      花嫁を探しているそうだ。
      滅多に姿を現さないという話だったのに、
      最近、人里に降りてきて、
      若い娘の居る家の周りをうろついているんだよ。
      見張りの兵士やゴーレムの隙を突いて
      いつの間にか村や町に入り込んでやがるのさ。
      花嫁探しのために手下達を水の国中に
      解き放ってるんじゃないかって話なんだよ」

マリー「こーしゃく?」

イリス「貴族の『位』ってヤツかな。
    『公侯伯子男』の順に偉いんだよ」

サララ「イリス、ヴァンパイアを
    確実に叩ける時間帯はいつ?」

イリス「明け方かな。ヴァンパイアは夜行性で、
    日光への耐性も個体差が激しいと聞くけど、
    太陽が出ている時間帯は休眠しているはず。
    外部から接触できないよう結界を施した場所でね。
    夜遊びして帰ってきたところを叩けばいいと思う」

酒場の店主「そこのお嬢ちゃんの言う通り。
      行くのなら西の町を拠点にするといいぜ。
      ただし、ヴァンパイアの館に住む
      魔獣や冥族はとてつもなく強いって噂だぜ。
      くれぐれも木乃伊取りが木乃伊に、
      いや吸血鬼取りが吸血鬼取りにならないようにな」

マリー「おじさん、ありがとう!」

酒場の店主「俺はまだ二十八歳だ!」

マリー「えっ・・・」


西の町を経由し、北西のヴァンパイアの館へ。


マリー「ふうっ・・・。
    なんとか辿り着いたわね!」

ジン「サララ、武器の振り方は自己流か?」

サララ「そうよ」

ジン「屋内での戦闘には向いていないな。
   ペトロフのやり方を真似るといい」

サララ「わかったわ。ペトロフ、よろしくね!」

ペトロフ「うん、よろしくね。
     って、サララ君は僕よりずっと
     強いし才能があるから、真似る必要は
     あんまりないと思うけどね・・・」


館は三階建てで、中には敵が居る。
最上階の三階でヴァンパイアと対峙する。


???「ハーッハッハッハ!!
    よくここまで辿り着いたな人間達よ!!」

マリー「うわつ、うるさっ。
    貴方が夜な夜な人里に降りて
    若い娘を襲っているヴァンパイアね?」

???「失敬な!! 私はヴァンパイアだが、
    乙女を襲ったりなどしていない!!
    さあ、人間が吸血鬼にすることといえば一つ!!
    この私を退治しに来たのであろう!!
    ハーッハッハ!! よかろう!!
    この私、エドモンド・ヘルツォーク・
    フォン・モーン・シュタインベルトが
    相手になろう!! ハーッハッハ!!」

マリー「名前長いわね」

エドモンド「ときに、桃色の髪のお嬢さん。
      お名前を聞いてもよろしいかな?」

サララ「私? 私はサララ。よろしくね」

エドモンド「おお、なんと雄々しい名前だ・・・」

ミハエル「喧嘩売られてるぞ」

エドモンド「好きな男性のタイプは?」

サララ「私より強い人」

エドモンド「おお、なんと雄々しい性格だ・・・」

ノウ「褒めてるみたいだよ」

エドモンド「君は美しい・・・」

サララ「え? 私、口説かれているの?」

エドモンド「フッ、私の話を聞いてくれるか、我が花嫁よ」

サララ「花嫁じゃないけど、手短にお願いするわ。
    話の内容次第では首が飛ぶわよ」

エドモンド「私は五百年の時を生きるヴァンパイアだ!
      結婚適齢期をちょっと逃している。
      まだ独身を楽しみたいのだが、隠居した父が
      『そろそろ結婚しろ』とうるさくてな。
      そういうわけで、国中にしもべを走らせ、
      花嫁候補を探していたのだ。
      しかし、運命とは奇妙なものよ。
      まさか、花嫁直々に出向いてくれるとは!」

サララ「どうして私なの?」

エドモンド「君は私が出会った女性の中で一番美しい!
      おお、サララよ、君こそ我が花嫁に相応しい!」

マリー「そういえば師匠っておいくつなんですか?」

ミハエル「二百からは数えてねえ」

エドモンド「こら! そこっ!
      私語は慎め!」

サララ「エドモンドさん、悪いけど、
    貴方のことは討伐させてもらうわ。
    私は自分より弱いヤツと
    付き合う気はないの」

エドモンド「なに!? 仕方がない。
      女性に手を上げるのは心が痛む・・・」

イリス「あ、戦う気はあるんだ」

マリー「魔獣族の増殖と狂暴化の原因は
    貴方ってことよね??
    覚悟しなさい!! ボッコボコよ!!」

エドモンド「む? 心当たりのないことを
      言われているが、まあいいだろう。
      さあ、かかってきなさい、マイハニー」

サララ「いくわよ!!」


エドモンドと戦闘。戦闘勝利後イベント。


マリー「今すぐしもべ達を引っ込めなさい!
    じゃないともっとボッコボコよ!」

エドモンド「イテテ、フフ、幼き魔女よ、いいだろう。
      目的は果たしたしな・・・。
      おお、愛しの狂える戦士、サララよ・・・」

サララ「ええ・・・。
    私、貴方と付き合う気ないんだけど・・・」

エドモンド「ハーッハッハ!!
      いつか必ず振り向かせてみせるぞ!!
      さあ、太陽がおはようする時間だ!!
      私は泥のように眠るとする!!
      また遊びに来たまえ!!
      ハーッハッハッハッハッハッハ!!」


エドモンドが消える。


マリー「うーん、女の子達は安全になったけど・・・」

イリス「魔獣の増殖と狂暴化の原因の一つではあったけど、
    まだ他にもなにかあるね・・・」

サララ「とりあえず、港町の酒場の店主に
    このことを報告しに行きましょう」


酒場の店主に事の成り行きを伝える。


酒場の店主「ええ、本当かい?
      今まで何組ものギルドがあの館に向かったが、
      ヴァンパイアに会えたのはお嬢ちゃん達だけだぜ」

マリー「本当よ! 証拠はなにもないけど・・・」

酒場の店主「・・・まあ、夜になれば嘘か本当かわかるな。
      眷属が居なくなってヴァンパイアが
      うろついていなければ、
      お嬢ちゃん達の話を本当だと信じるぜ。
      今夜はこの町に泊っていきな。
      明日の朝一番には俺んとこに情報が入ってくる。
      もし本当なら、兵士に伝えて
      女王陛下に知らせるよう頼んでやるよ」

マリー「おじさん、ありがとう!」

酒場の店主「だから俺はまだ二十八だってば!」


夜、ペトロフが起きる。


ペトロフ「ふわーあ。変な時間に起きちゃった・・・。
     ちょっと外の空気を吸いに行こう・・・」


宿の横の公園、ノウ、ステファン、ローディ、ミハエル、ジンが居た。


ペトロフ「あれ、皆、眠れないのかい?」

ミハエル「オイオイオイ、男ばっかりなんなんだよ」

ノウ「魔獣の増殖と狂暴化について話していたところさ」

ペトロフ「なにかわかったのかい?」

ノウ「いいや、全然。君はどう思う?」

ペトロフ「うーん・・・」


ひょこ、とエドモンドが木陰から顔を覗かせる。


ペトロフ「あっ! ねえ・・・」

ミハエル「ほっとけ」

ノウ「面倒臭いからほっとこう」


ひょこひょこ。


ペトロフ「でも、凄く話しかけてほしそうにしてるよ?
     僕、目が合っちゃったし・・・」


エドモンドが姿を現した。


エドモンド「ごきげんよう、皆の衆」

ノウ「夜這いに来たのかい?」

エドモンド「そんな低俗なことをするわけがないだろう!
      私はハニーを見守っているだけだ・・・」

ミハエル「あの戦闘狂のどこが良いんだ?」

ペトロフ「ミハエルさん! サララ君に失礼ですよ!」

エドモンド「このどうでもいい話、いつまで続けるの?」

ステファン「君達のおかげで眠くなってきたかも」

エドモンド「くぅ、気に食わんヤツらだ・・・。
      まあ、いい。
      魔獣達が賑わっているのが気になるのかね?」

ペトロフ「はい。僕達はその原因を調べに来たんです」

エドモンド「うーむ。実はしもべ達から聞いた話なのだが、
      天族と冥族が水の国に押し寄せているらしい。
      今、四大陸の中では
      水の国が最も栄えているからな。
      この地を拠点に、
      戦争の準備をしているのではないか?」

ペトロフ「せっ、戦争!?」

ノウ「目的は『ハルマゲドン』か・・・」

エドモンド「そうだ。光と闇の最終決戦。
      『世界の終わり』だ。
      命ある者は皆、大いなる戦いを経て、
      元素に還元され、文明は崩壊する」

ペトロフ「じゃあ、軍勢を増やすために
     魔獣族を増殖させて
     狂暴化させたんですか?」

エドモンド「んっんー、惜しいな」

ノウ「天族も冥族も自分のことしか考えていないよ。
   魔獣は軍隊として使うためじゃない」

ペトロフ「えっ? じゃあ、どうして?」

ノウ「・・・エレメントに還元させるためさ」

エドモンド「『交配種』というものを知っているかね?
      『雑種』という言い方もする」

ペトロフ「別の種族同士を掛け合わせて
     産まれた生物のこと、ですよね?」

エドモンド「そうだ。
      光と交わって産まれたものは
      死後、半分光に。
      闇と交わって産まれたものは
      死後、半分闇に還る。
      個体差はあるが詳細は省こう」

ノウ「子供をどんどん産ませて、殺すことで、
   自分達の力を高めているってことだね」

ペトロフ「そ、そんな、馬鹿な・・・!」

エドモンド「それだけではない。天族も冥族も、
      『希望』や『絶望』、
      『信仰』や『畏怖』といった
      強い感情によって力を得ることができる。
      配下の魔獣を暴れさせて力を誇示すれば
      『信仰』が高まり、力を得る。
      狂暴な魔獣が現れれば
      誰かが退治せざるをえまい。
      退治させてエレメントに還元させ、
      更に力を得る。実に効率の良い話だ」

ミハエル「理屈はわかったがよ。何故、今、
     ハルマゲドンを起こそうとしているんだ?」

エドモンド「原因は人間族の文明、
      『科学』の発展であろうなあ。
      空を飛ぶ機械や、水中に潜る機械、
      地中を掘る機械の研究をしているだろう?
      『科学』は『神秘性』と最もかけ離れた学術だ。
      天族と冥族の『神秘性』が『科学』に
      解明されれば、いずれ『信仰』は失われる。
      天族と冥族は弱体化、いや、存在そのものが
      無くなってしまうかもしれない。
      ハルマゲドンを起こすのなら今しかないと
      私も考えるね」

ペトロフ「そんな・・・。そんな!
     なんとかしてハルマゲドンを阻止しなければ!」

エドモンド「・・・君、名前は?」

ペトロフ「ペトロフです」

エドモンド「ペトロフ君、ハルマゲドンを
      阻止するのはやめたまえ」

ペトロフ「何故です!」

エドモンド「人間の君になにができるというのだね?」

ペトロフ「そ、それは・・・。
     でも、なにか手立てがあるはずだ!
     戦争なんて、なにも良いことないよ!」

エドモンド「ふぅむ・・・。
      価値観の違う生きものと接するのは面白い。
      だから私は人間が好きだ。人間が好きだから、
      君に協力してあげようじゃないか」

ペトロフ「エドモンドさん・・・!」

エドモンド「四大陸の中央にある謎の塔は知っているかね?」

ペトロフ「はい。塔には上に登る階段と、
     下に降りる階段があり、
     とても強い謎の生きものが沢山居て、
     最奥に辿り着いたものは居ない。
     塔から帰ってきた人は口を揃えて
     『恐ろしい場所だった』と言い、
     二度と近付こうとしない、と聞いています」

エドモンド「私の父上から聞いた話では、
      あの塔の上は天族が住む『天界』、
      下は冥族が住む冥界に続いているそうだ」

ペトロフ「えっ!?」

エドモンド「塔に住み着いている謎の生きものは、
      下級の天族や冥族だ。下級といっても
      君達の数百倍は戦闘力があるがね。
      侵入者の何人かを生きて返すのはわざとだ。
      『あの塔は恐ろしい』という洗脳を施して、
      塔にやってくる冒険者の数を調節しているのだろう」

ペトロフ「僕達はどうすればよいのですか?」

エドモンド「塔の最奥まで行き、天族と冥族の王に
      『戦争はやめろ』と直談判したまえ!!」

ノウ「あのさ、僕達の数百倍も強いヤツが
   うじゃうじゃ居て、逃げ帰ろうものなら
   洗脳されて二度と近寄れなくなる場所に
   挑めって言うの? しかも直談判?」

エドモンド「君達なら可能だ!!」

ミハエル「・・・あながち、無理な話でもないぜ。
     あの三人娘、鍛えれば間違いなく
     世界に名を轟かせる存在になる。
     最も、何十年もかけて鍛え上げての話だがな」

エドモンド「よぉくわかっているじゃないか!!
      マイハニーと付属品二つを
      鍛えるのは君達に任せるとして、だ」

ローディ「付属品って言うなよ」

エドモンド「洗脳を防ぐ方法を、私は知っている。
      『人魚の鱗』だ。無理やり剥いではいけないよ。
      人魚は環境や季節の変わり目になると
      鱗が生え変わるのだよ。人魚達は剥がれた鱗で
      装飾品を作り、着飾って更に美しくなる。
      人魚達から装飾品を譲ってもらうといいだろう」

ミハエル「俺達に人魚の知り合いが居るように見えんのか?」

エドモンド「心配は要らん! 私の親友を
      紹介してあげようじゃないか!
      我が館から〇〇にある海岸に行くのだ!
      このハンカチーフを君達に預けよう。
      これを『フルール』という名の人魚に見せるのだ。
      きっと君達に力を貸してくれるだろう!
      おっと、そろそろ戻らないと
      朝日が昇ってしまうな。
      では諸君、さらばだ!!
      ハーッハッハッハ!!」


エドモンドのハンカチーフを入手。エドモンドが帰っていく。


ノウ「嵐のように来て、
   嵐のように去っていったね」

ジン「さあ、皆。次の目的も決まった。
   宿に戻って少しでも身体を休ませよう」

ペトロフ「・・・よーし、頑張るぞ!」


皆、宿に戻っていった。





ストーリーの大筋がここで触れられる。
『ハルマゲドン(戦争)を止めよう』というもの。



血について。

血には魂の情報が詰まっている。
分け与えて眷属にする、治療に使う(輸血)、
媒体にして新たな生命体を創造する、などなど。
ただし、高度な技術を有する者しか使いこなせない。



ここまでのキャラクター達の戦闘での役割。

物理アタッカー
 サララ、パトリシア、お紺、ペトロフ

魔法アタッカー
 マリー、ミハエル

ヒーラー(バフ、デバフ込み)
 イリス、ステファン、ジン

タンク
 ローディ

テクニカル(盗むなど)
 ノウ、ミュコ、ミミン


あくまで『本人の得意な武器』を使った場合。
武器は四種類装備でき、なにを装備できるかは決まっている。

短剣、剣、大剣、杖、扇、弓、弩、銃、斧、槍、
薙刀、鎌、鞭、鈍器、投擲、飛去来器、格闘。

扇、鞭、投擲、飛去来器は全体攻撃。

杖には魔力を腕力に変える『フルパワーメイス』がある。
魔法攻撃が大きく下がるが物理攻撃が大きく上がる。
「それは鈍器では」というツッコミは無しです。

防具は重装備と軽装備の二つで、どちらを装備できるかは決まっている。
装飾品は誰でも装備可能。鈍足アタッカーを俊足にしたり、
魔力を大きく上げて全体魔法でゴリ押し脳筋プレイなどができる、はず。





アイテム図鑑とモンスター図鑑はくすっと笑えるようなものにしたい。
アイテム図鑑の執筆はマリーが、モンスター図鑑の執筆はイリスが担当。





錬金術(アイテム作成)は
マリー、サララ、イリスの三人でやっている。
時々ミハエルとジンに手伝ってもらっている。





『食材化』について。
実は魔力は誰もが有する者で、それを使いこなせるかどうかであり、
一口に『魔法』といっても攻撃魔法や治癒魔法だけではなく、
『食材化魔法』というものがある。食材に自らの魔力を注入して、
死んだあともある程度の鮮度を保ちながら長期保存できるというもの。
放っておくと痛み、腐り、元素に還元されてしまう。





ネクロマンサー(死霊使い)について。

『食材化魔法』と原理は同じ。
イリスは意図せずパトリシアを使役できているので、
実はネクロマンサーとしての素質がある。





「あれっ? ペトロフって『ディミディウム』なの?」

そうだよ。重大なネタバレを含みますの部分がここです。





一度、ストーリーを完結させたあと、実際にウディタを使って
イベントを作り『できること』と『できないこと』を把握しました。
やっぱりストーリーを完結させないとなにも始まらない!!
ストーリー通りにイベントを作り直すの滅茶苦茶大変だってもうわかる。

でも、とっても楽しい。
エターならないように頑張ります。
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