文字数 1,475文字

 就職活動時期を終えて、
山田梓(やまだあずさ)川田由紀(かわだゆき)
会うことになった。
 由紀のワンルームに集合した。
 

 「来年からはIT関連の会社生活。
早起きしなきゃならないのよね。」

 「私は介護関連の会社にしようかな。
みんな優しくていい人そうだったし。」

 梓はIT関連の会社、
由紀は介護関連の会社に
正式に内定が決まったのだそうだ。


 「富美子(とみこ)は?」

 「私は1社も決まらなかった・・・。」


 「・・・そうだったんだ・・・。
元気だしなよ!
富美子は面接した会社には
もったいない人材だよ!
これからもっと、
相応しい会社を探していこう!」

 「富美子の良さが
わからない会社なんて、
こっちからお断りだよ!」

 2人とも、いい友達である。

 「2人ともおめでとう!
そして、
励ましてくれて、ありがとう!」


 「そう言えば、富美子、
少し痩せた?」

 「え?そんなことはないと思うけど。」

 「洗面所に体重計あるからさ、
私たちは見ないから乗ってごらんよ。」
 由紀が富美子を洗面所に促した。


 「うそっ!5キロ痩せてる!」


 「ほらね。痩せてたじゃん!」


◇◇◇

 コロナ禍だが営業している
お洒落なバーがある、
と梓が絶対3人で行きたい!
と言い出したので、
3人で行くことにした。


 「ドレスコードは?」

 「ジーパンでも
大丈夫なところらしいわよ。」

 「よかった。
それなら気が楽でいいわね。」


 3人はエレベーターで
3階にあるカウンターバー
『アトランタカフェ』に入っていった。

 昔の西部劇に出てくるような
扉の向こうに、
古き良きアメリカの雰囲気。

 カウンターの他に、
立ち飲みエリアと
小さなラウンドテーブル。

 店内は広くはないのだが、
アメリカならではの
オブジェのネオンが、
仄暗い店内をワイルドに包み込む。


 「ジントニック。」
 梓が頼んだ。

 「ブラッディマリー。」
 由紀が頼んだ

 「マルガリータ。」
 富美子も頼んだ。


 「時々、
イケメンの男性グループが
この店で飲んでるらしいわよ~!」

 「あ~、彼氏欲し~いなぁ~。
結局4年間、
付き合っては破局の繰り返しで、
特定の長続きする彼氏、
出来なかったのよね。」

 「そうね。
私は深く付き合わなくていいから、
お洒落な時間を過ごせる人と、
食事したり旅行行ったりしたいかな。
結婚は、ちょっとまだわかんないし。」

 「え~。結婚したい~。
結婚前提で付き合える彼氏、欲しい~!」

 

 そんな話をしているうちに、
男性3人組が
西部劇の扉をくぐって入って来た。



 梓と由紀は、
彼らをジーっと見て観察した。

 富美子は空腹にマルガリータを
一口飲んだだけで、
酔いが回ってきてしまったので、
水を頼むかどうか迷っていた。


 「ねえねえ、
今店に入って来たグループ、
全員すっごいイケメンじゃない?」

 「メンズファッション誌の
モデルみたいね。」


 空腹でマルガリータを飲んでいた
富美子の目がすわってきた。

 目がすわってきた富美子だが、
普段の富美子にはない
”色気”を醸し出していた。


 3人のイケメンのうちの一人が、
富美子に目を留めた。

 「ねえねえ、あの人、
あのイケメンの人、
富美子を見てるわよ。」

 「え?私を?」

 子供の頃からずっと太っていて、
男子に視線を向けた時に、
心が傷つくことを言われて以来、
富美子は自分から
男性に視線を送ることはなかった。

 なので、イケメンが入って来た、
と言われても下を向いて
グループの方を見ることはなかった。


 富美子はキョロキョロして、
イケメングループが
店内のどこにいるのかをやっと確認した。



 確かに目が合った。



 コツコツ・・・。
 富美子と目が合ったイケメンが、
こちらに向かって歩いてきた。

 「やだ!嘘!こっちに来る!」
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登場人物紹介

村田富美子(22)

大学4年生。就活に失敗して来年度からは無職の生活を送ることが確定してしまったぽっちゃり女子。

山田梓(22)

大学4年生。富美子の友人。来年度からはIT関連の会社に就職することが決まっているキレイ系女子。

川田由紀(22)

大学4年生。富美子の友人。就活の結果、内定した会社がいくつかあるが、来年度からは介護関連の会社に就職しようかと考えている可愛い系女子。

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